top of page

【6月14日(木)開催】第162回定例会「20世紀を引きずっていない街、深センビジネスの構造と協業」


6月14日(金)開催の第162回定例会のご報告です。今回は深センを中心に活動されているメイカーズムーブメントなどハードウェアにまつわる動向にお詳しい高須正和さんにお話しいただきました。高須さんは日本のエンジニアなどが深センの興味深い面を共に発見していく『ニコ技深センコミュニティ』の発起人でもあります。

イベントの内容で高須さんがお話になった内容を簡単に振り返ってみようと思います。

人件費が高騰していった深センでは人件費の占める割合の大きい衣服の工場は減りました。一方サプライチェーンがあり、人件費の占める割合も比較的小さいICT機器の製造は残っていき、これが深センの産業が労働集約的なものから高度化していった結果だと高須さんは語ります。

深センではハードウェアの製造量が多く、多種多様な中間成果物が流通しています。それらの規格品を組み合わせることでオリジナルなものを作ることができます。人型のロボットはタブレット+ホバーボード+スマートスピーカーでできており、これは深センにあるものを組み合わせてすぐに作ることができるわけです。

結果として深センでは新製品であっても少ないロット(製造数)で工場に発注できるようになりました。低いロットでスタートできるということは当然低いコストでスタートできることにつながるので、結果として失敗した時の責任や説明責任をそこまで深刻に考えなくてもいいから決断スピードが早くなったというのが高須さんの見立てです。リーンスタートアップの考え方に近いかもしれません。

「深センは(中国の他の大都市と比べても)特許数がめちゃくちゃ多い」と話は続きます。 深センの企業は研究開発に非常に多くの予算を割いています。スマートフォン業界では低価格レンジの製品は「IDH(インディビジュアル・デザイン・ハウス)」と呼ばれる設計企業に発注して開発費用を抑えるものの、高価格レンジのものには自社独自の機能をつけるべく研究開発を集中させているそうです。

「今の中国製品は日本製品のコピーではない」とも高須さんは言います。アナログ製品は製品の陳腐化速度が遅かったために買い替えの頻度がそう高くはありませんでしたが、デジタル製品はムーアの法則により非常に早く性能が良くなっていくので多くの利用者が買い換えるという違いがあります。

デジタル製品を10年のスパンで長持ちさせる必要はなく、今の中国のデジタル製品で耐久性にこだわりすぎた日本でしか手に入らない部品の割合はもはや少なく、またそもそも日本製品に比べて部品数が少ないので、中国製品はもはや日本製品のコピーではないということです。

香港和僑会にはハードウェアとがっつり関わっているという方は多くはいらっしゃらないのにも関わらず、多くの方が高須さんが示す豊富な事例とその背後にある構造についての説明を興味津々にお聞きになっていました。今後も香港和僑会として深センも含めた中国の様々な地域の現状を学ぶ機会を持てればと思います!

最新記事
アーカイブ
タグから検索
ソーシャルメディア
  • Facebook Basic Square
  • Twitter Basic Square
  • Google+ Basic Square
bottom of page