第40回香港和僑会


第40回

フレッド・カン法律事務所 律師 武藤錬太郎氏

第40回香港和僑会

開催日

8月1日(金) 19:00 ~ 21:30

開催場所

日本人倶楽部

参加者数

40名

第40回香港和僑会

『そうかそういうことだったのか!』

個人的な期待をはるかに上回る名講演だった。

講演中に投げかけられたひとつの質問からいろいろな気づきを得た。

武藤先生問うていわく。

「訴訟ではっきりするのはいったい何だと思いますか?」

従来和僑会の夜は経営者で成功した方の経営者の考え方などのお話が多い。『しかし今回は弁護士の先生のお話。経営というよりは“実務的”な色合いの強いどちらかというと苦手なビジネス法のお勉強の話だろう。』とあまり期待していなかった。(失礼!)しかし、それは勝手な誤解だったようだ。武藤先生のお話は、ありがちな法律の専門家の重箱の隅の議論ではなく、まさしく日々、海外で仕事をする経営者・あるいは当事者のために構成されたお話だった。

『何がはっきりするか?』改めてそう問われると・・・。“訴訟”は一大事。いわば専門医に大手術をお願いするようなもの。そうなったら生兵法は怪我の元。門外漢はまな板の鯉。おとなしく専門家にお任せするしかないと。しかしそれは大変な思い違いだったと今回、気がつかされた。

「訴訟では自分の権利ははっきりします。しかし仮に勝訴したからといって相手が本当に賠償金の支払いに応じるかどうかは全く別の問題。いってみれば権利がはっきりするだけの事。それだけに訴訟になったとしても専門家任せにせずに飴と鞭をうまく使い分けて相手と落とし所をさぐる水面下の交渉も怠らないことがきわめて重要です」確かに犯罪の裁きと違って示談というカードもある。

特に訴訟は段階を経るごとに弁護士費用など雪だるまのように膨れ上がることも。敗訴すると香港では負けたほうが勝訴側の弁護士費用まで負担しなければならないのでより大変。

また、仮に、勝っても相手が負け逃げして判決に応じた金額を払ってくれないことも。いわれてみれば、どちらに転んでも権利と義務が明確になる以外なんの保障もない。強制執行という手もあるが差し押さえる財産がなければこれも「無い袖は振れない」上告となればさらに時間もかかる。

『そうか!今までは単に訴訟≒専門家任せと自分は捉えていたが実は訴訟ひとつとってもいろいろな段階で高度な経営判断をすべきなのか!』

訴訟になっても、まな板の鯉をきめこまず、費用や期間をにらみながらあらゆる段階で水面下の交渉を続けるべきである。

経営している以上、日常的に問題は付き物。しかも問題は往々にして複雑に絡み合っている。その複雑な方程式を解くのがいわば経営者の仕事。今まで訴訟という選択肢は最悪最終の手段と思い込んでいたがそうではない。この非常に複雑に入り組んだ問題を解く方程式のひとつ。経営者は細かい条文は覚える必要はないが、そういった法律に対する考え方や弁護士などの専門家に丸投げではなく向き合う姿勢が必要。「経営者はビジネス法とどう向き合うべきか」今回の講演はそんな気づきに満ちていた。

「それにしても…」

お金の面だけでとらえれば弁護士はお客が訴訟などをどんどん持ち込んでもらったほうがお金になる。今回のようなアドバイスは経営者にとっては親切だが弁護士業にとってはむしろマイナス。弁護士がこんなことを話しても一文のとくにもならない。医者が「むやみに薬など飲むな」といっているのに等しい。

貴重な考え方を教えてもらって感謝と同時に“赤ひげ先生”のように儲からないことのないように人事(ひとごと)ながら心配になった。

それ以外のお話も実に欲張ったメニューを短時間で説明しきるありがたい限りの構成だった。

そのさわりだけ紹介すると

香港ではうかつな接待は立派な有罪!?

滅多に認められない即時解雇(退職金も不要)に持ち込むとすれば?

「え?親族でも相続が受けられないことも!!」日本と大きく異なる相続法

 めでたくアパートを契約。でも、うっかりすると複数のエージェントから手数料を請求されることにも…。

罪の重い痴漢。ちょっと触れただけでも…。

人にはちょっと聞けない(?)被疑者になった勾留された時の心構え。

などなど香港で働き暮らすには抑えておきたい内容ばかり厳選。普通のセミナーなら各テーマで1時間以上かけてもおかしくない内容。それを一刀両断の無駄のない明確な解説でズバリ解説。1時間ちょっとに凝縮して見せたのには改めて脱帽。忙しい経営者の方々にはうれしい限りだ。

今回は「お盆で里帰り。残念ながら参加できない」というメンバーの方々、本当に残念でした。せめて拙速で候さんのすばらしい速記で雰囲気だけでも感じていただければ幸いです。

武藤先生ありがとうございました。それからこのような話の聞ける和僑会という場に改めて感謝。

(ここまでの文責 香港和僑会上野)

I.接待はワイロになるのか?

Chapter:201にある“Bribery“という単語がワイロという意味。ワイロ禁止の条項。1~5に分かれていて、ビジネスマンが注意すべきなのは第2項。

登場人物が3人居る。1番目はany person・・・A、2番目がany agent・・・B、3番目がprincipal・・・C。AがBに対してCのビジネスに関して利益供与を申し込むと犯罪になる。と書いている。だから接待は犯罪になる可能性がある。