第35回香港和僑会

March 28, 2014

 

第35回

T&MORRIS VISA+ CONSULTING LTD.社長 森沢 岳氏

第35回香港和僑会

開催日

3月28日(金)   19:00 ~ 21:30

開催場所

日本人倶楽部

参加者数

30名

 

第35回香港和僑会

◇ヒト・モノ・カネの前に準備すべき肝心なもの

当初「今回のテーマは極めて実務的、簡単」と思っていた。しかし聞いてみると、とても深く経営者に資質にもある種、通じる内容だった。

ヒト・モノ・カネどれもナイナイづくしなのが通常の起業。ビザまではとても気が回らない。しかし日本に比べ外国人により門戸を開いている香港といえども誰にでもビザ発給するわけではない。不法就労の罰則は、罰金ばかりでなく国外追放までありとても厳しい。すなわち海外に住んで起業するつもりならヒト・モノ・カネ以前に肝心なのがビザなのである。取らなければならないのはわかっていても、さてそれではどんなビザがあるか?それらのビザはどうすれば取れるか?

これもイミグレーションに行けば英語や中国の説明書が山積みになっているが読んでいても今一ピンとこない。係員に聞けば比較的親切に説明はしてくれるが、当然、英語である。しかもグレーゾーンに関する本音の相談はちょっとためらわれる。まして「ビザがおりやすい書き方は?」などという質問にはまず答えてくれない。和僑会の面々の中にも「実は、ビザが取れるまで不安で寝られなかった」といった人たちも。

今回の講師森沢先生はまさに海外起業でヒト・モノ・カネ以上に必要なビザに関する生き字引。何しろ16年間に7500件を扱ったというからすごい。お手伝いした会社数はなんと2000社にものぼるとか。ありとあらゆる業種や職種のビザ取得に精通しているといっても過言ではない。

(なお、今回の講義の主旨とはそれるが、この数は商工会議所メンバー600社をはるかにしのぐ、香港の主だった日系企業を網羅している勘定になる。おそらく日系企業の顧客数が香港で一番多いのがこの森沢先生の会社ではなかろうか?一度、ぜひカスタマーリソースマネジメントの講義もぜひ伺いたいものである)

通常、ビザのような生々しい話はお客様との守秘義務やプライバシーを理由になかなか具体的なお話を聞けないものだがさすがは森沢先生。お客さまにも迷惑がかからないように上手に、なおかつ具体的にお話しいただけた。

今回、具体的にお話を改めて伺ってわかったこと。

『やっぱりビザはケースバイケースで難しい。最近より厳しくなったので微妙な場合は専門家に相談すべき。』

そして

『投資ビザでもビジネスプランは厳しくチェックされる。(ビザに限ったことではないが)やはりビザの以前に大切なのがビジネスプラン!』

結局、ビジネスプランの前に来るのは個人の人生計画やそれを裏打ちする”志”。経営者にライセンスは要らないがそう考えると、ビザからも起業家の資質を問われていることになる。すなわち、ビザというのもいわば”海外起業家のパスポート!?”といえなくもない。

ビザという切り口で16年間、圧倒的な数の海外のビジネスマンを見続けてきた森沢先生ならではの薀蓄に富んだ講演だった。

今回講義で使われたニュースレターなど関連資料もJBNに保存している。出席できなかった方はぜひJBNにお問い合わせを。

森沢先生ありがとうございました。

と、ここで終わらないのが最近の和僑会のすごいところ。

続いて今回出席いただけた第31回講師、荻野先生のお話のインパクトもすごかった。

http://www.wa-kyo.com/report_wakyo_0031.html

お題は「なぜ経営者はファーストクラスに乗るか?」

きわめて短いスピーチだがすごく尾を引いた。

「あれはどう解釈すべきだろうか…」ビザの話題とともに2次会、3次会でも大討論会。

気がつくと朝の4時。

普段はシンデレラタイムに必ず帰る某社長が帰りのタクシーでポツリと

「あの意味をどう解釈し伝えたらいいだろうか・・・」

(す、すごい。まだ言っている・・・)

和僑会に入ると本当に鍛えられる。森沢先生、荻野先生ありがとうございました。

(文責 和僑会のITコーディネータ 上野)

第35回和僑会講演会2008年 3月28日(金) 速記録

講師:T&MORRIS VISA+ CONSULTING LTD.社長 森沢 岳氏 

テーマ:「起業家必修!香港のビザについて学ぼう!」

今回Well Mart関口社長より紹介を頂いた。起業家あるいはこれから起業を目指す方を対象にVISAについて話ししたい。

私は1987年に日系証券会社の駐在員として香港に赴任した。

1992年に独立してVISA申請専門会社を設立した。現在顧客は約2,000社となっている。これ以外の業務としてビジネスコンサルティング、として会社設立・秘書業務も取り扱っている。

イミグレ関係のニュースをレター形式で毎月1回会員に配布している。

香港のVISAを扱っているが中国のVISAについても簡単に触れたい。

従来中国は3ヶ月のMALTI VISA、いわゆるF VISAを発給していたが今日付け(2008年3月28日)で廃止となった。日本人は2007年12月末から(聞き違いか、もっと前からだったと思います)15日以内であればNO-VISAで滞在が可能となっている。

3ヶ月のF VISAを廃止した今回の措置を深読みすると3ヶ月のF VISAで中国に出張していたビジネスパーソンを滞在VISAに切り替えを促進させたい当局の狙いが透けて見える。当局はVISAと税金をLINKして考えており、183日ルールを最大限に利用していたビジネスパーソンにとっては手痛い措置となるはずだ。

それでは香港のVISAについて説明したい。

1. 何故VISA取得が必要か?

会社を経営して得た利益は内部留保としても良いが、株主配当として受け取る事も出来る。その時にVISAを取得しているとその配当には課税されないメリットがある。逆に就労VISAなしで就労していると罰則規定に基づき処罰の対象となる。

ちなみに本人が不法就労している場合は最高HK$5万の罰金と最長2年の禁固、従業員を不法就労させる場合はもっと重く最高HK$35万の罰金と最長3年の禁固と非常に厳しくなる。

実際にこんな例がある。就労VISAが取れないまま従業員を就業させていたところ、何かの都合で解雇することになった。その従業員はイミグレに内部告発し、本人はVISAがないので強制退去、社長はイミグレから訴追を受け、かなりな金額で(講演では金額を言っていましたが聞き逃しました)イミグレと和解をする。と言う事例もあるので十分に留意されたい。

2.香港のVISAには9種類あるが就労の可能な6種類について説明を加えたい。

・永住権(PERMANENT ID CARD)

家族帯同が条件03年から条件が厳しくなった。就業や起業に関する制約はない。格としては次に述べる無条件VISAよりも上になる。

・ 無条件VISA(UNCONDITIONAL VISA)

就業VISA、投資VISA、家族VISAの所有者で7年間継続して合法的に香港に居住していれば取得できる。就業や起業に関して制約はない。略称アンコラ。

・ 家族VISA(DEPENDANT VISA)

家族が就業VISA、投資VISA所有者でありその所有者がVISAスポンサーとなって取得するVISA。
就労、起業が出来るが学生VISAを持つものは不可。

・ 投資移民制度(CIES)

特別スキム。個人名義でHK$650万以上の投資を(香港の有価証券、不動産)すると2年単位で居留権が付与される。
就労、起業の制約はない。

・ 就業VISA(EMPLOYMENT VISA)

会社がVISAスポンサーとなり取得するVISA。有効期間は2年-2年-3年、更新時に在職証明が求められる。専業義務があり、サイドビジネスは違法行為となる。

・ 投資VISA(INVESTMENT VISA)

起業する場合に取得するVISA。社会的責任を問われるので審査基準は厳しくなる。

VISAで足元をすくわれないようにしてから起業する。但し、起業はタイミングの問題もあり、そうそう待てるものではないかもしれない。

起業、独立を希望される方にお勧めしている優先順位は

i)無条件VISA(講演ではPERMANENT ID)

ii)家族VISA

香港人の家族が居れば拘束が少ない。

iii)投資移民制度

日本円で約1億円の投資をすればパーマネントと変わらない扱いを受ける事が出来る。

iv)投資VISA

06年からは審査基準が厳しくなった。

3.投資VISAの審査基準

イミグレは申請者とVISA SPONSOR換言すると法人と個人のバランスを見ている。

3-1)事業計画はどうか?

外国人が香港に来てまでやる価値のある事業か?

3年分の事業内容はどうなっているのか?

3-2)事業実態

オフィスはあるのか?

本人が香港に常駐しないのであればVISAは不要、非常勤役員としてビジネスを勧める

3-3)香港に対する貢献度

年商、現地雇用人数

3-4)資本金

固定費用の6か月分あればイミグレは安心する。

この場合の固定費は人件費、賃貸料などを指す。

3-5)資本金以外に追加資本が投入できるか?

金融資産がよい。不動産や骨董品でも可能だが評価が難しいものがある。1,000万円単位の金融資産があればイミグレは十分と考えているようだ。

3-6)延長申請は原則として毎年行なわれる

社会的責任を問われるので、決算書、現地雇用人数が審査の対象となる。規模が大きくなれば複数年次での延長が認められるようになる。

売上が伸びていれば問題はない。

事業が伸びたら日本人スタッフを増やしたくなるだろうがイミグレは必ずバランスを見ており、香港人を半数以上雇用しておく方が安全である。パーマネントを保有している場合でも日本国籍であれば日本人とカウントされる。

日本人スタッフの就労VISAについて

学歴があっても職歴がないと難しい。

高卒者の場合は職歴10年、4大卒者の場合は職歴5年がイミグレの基準となっている。営業職の場合は2年でも許可される場合がある。

審査が微妙になるのは日本での職歴と香港での職種が違う場合だ。

たとえば日本では飲食業に就いていて香港で金融をやりたい。この場合は微妙になる。しかし、その場合でも営業職であれば認められている。このように営業職は汎用性が高い。

意外に難しいのは会計。香港の会計制度と日本の会計制度に精通した香港人は多いので香港人の雇用を求められる。

2006年からいかに厳しくなったかを失敗事例を通じて説明したい。

事例A.健康・美容関連用品の貿易

資本金HK$50万、個人資産HK$100万

事業計画:1年目 HK$6百万(香港社員1名)

     2年目 HK$14百万(香港社員4名)

     3年目 HK$17百万(香港社員6名)

オフィスも280sqf借りている。

この会社の社長は日本の会社を清算して香港で会社を立ち上げた。

06年秋に申請したが却下された。

却下の理由:売り上げがアグレッシブすぎて計画に信憑性が足りない。

対応:Rejectされてから2週間以内であればアピールのチャンスはあるが、心証を害してこじれると余計にやっかいなので、一旦申請を諦めて非常勤の役員として実績作りをしている。

失敗事例B.貿易およびコンサルティング

資本金HK$100万、個人資産HK$300万

関連会社があり個人名で会社を設立。

投資VISAとしては有利なはずだが却下された。

却下の理由:日本・中国の会社に対するコンサルティングであるため。

対応:貿易業務主体にするとうまくいくかもしれない。

 

《質疑応答》

 

Q1:現在学生で将来起業したい。事業計画はどの程度の内容が必要か?

A1:売り上げ規模だけで構わない。収益まで出す必要はない。香港に税金の落ちる計画であればなおいい。

 

Q2:新卒で5年の勤務経験を持っていないが、就労VISAは取れるだろうか?

A2:厳密に5年というわけではない。5年に数ヶ月足りない程度なら大いに可能性はあるしさきほどの営業のようにもっと短くても大丈夫なケースもある。
投資VISAの方は簡単に会社を作って簡単につぶされてしまったのでは仕入先などに迷惑をかけることになるので毎年審査となる。

 

Q3:検査官によって対応がずいぶん違うような気がするが、どう思うか?

A3:イミグレは大きな組織である。24階のフロアが新規申請のフロアでそこに日本人担当が10名配属されている。このメンバーが5~6年かけて全員が入れ替わるローテーションになっている。

申請したら4週間は督促してはいけない決まり事になっていて、当社では4週間経った次の日にCheckを入れることにしている。担当官によってはデスクに書類を山積みにしているのかCheckを入れた次の日にVISAが降りることがある。

人間のやることなのでどうしても偏り(かたより)が出るのはやむをえないと思う。かと言ってこちらから担当官を指名できるわけではないので、親切な人(講演ではやさしい人)に当たったらラッキーというのはあるかもしれない。

 

Q4:息子を修行させようと考え、中国の知人の会社で仕事を仕込ませたいと考えている。その会社の社員になりすませてやったほうがいいと思うのだが、183日ルールも気になる。アドバイスお願いしたい。

A4:あるべき姿で申請すればいいと思う。(講演では虚偽の申請はいけない)中国の知人の会社とおっしゃっていたので、きちんとその会社と人件費等の契約をし、その会社から給与を出してもらい正式に中国の会社に出向する形にした方がよい。

 

フェニックスグループ/荻野会長

会社の経営者がなぜ1st Classやグリーン車に乗るのか?考えてほしい。それは、経営者は絶対にスターでなければならないからだ。また、常によい状態、better shapeを維持しなければならないからだ。

20年ほど前のキャセイの宣伝文句に“キャセイで飛べばいい状態で目的地に着く”というのがあったが、正にその通り。

昔、フランスまでエコノミーで行ったことがあった。現地に到着して交渉に臨んだ、200万フランが妥当と思っていたのに相手の提示額は300万フランだった。高いと思っていたのについ契約してしまった。後になってどう考えてもやはり高い。100万フランあれば何回ビジネスに乗れただろうと反省した。

そのことがあって以来、長距離の場合は1st Class、短距離の場合はBusiness Classに乗るようにしている。

また、あるとき1st Classに乗っていたら、こんな事もあった。利豊の会長と同じ便に乗り合わせたのだ。利豊は繊維業界では世界1の会社である。飛行機の中で新規の商談をすることが出来た。

逆のこともある。新幹線で自由席に乗っていたら、グリーン席を通り抜けるときにバッタリ知り合いと出会った。うまくごまかしたが

“(社長が自由席なんて)荻野のところ、あそこはヤバイ”

そういう噂を流されかねない。人はそう見ることがある。

1st Classやグリーン車に乗っていると気持ちがいい。
これも最後にある。

(速記 By拙速で候)

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