【開催報告】2026年9月9日(水)ランチ和僑会「どうしたら日本人旅行者は香港に戻ってくるのか?」

香港在住者が考えた「もう一度行きたくなる香港」
「そういえば最近、香港に旅行へ行ったという日本人をあまり聞かなくなったな……」
香港に住んでいると、そんなことを感じることがあります。
かつて香港は、日本人にとって身近な海外旅行先のひとつでした。
美味しい飲茶を食べる。ショッピングを楽しむ。ビクトリアハーバーの夜景を見る。そして、雑多でエネルギッシュな街を歩く。
ところが現在、日本人旅行者の香港への戻りは決して順調とは言えません。
韓国や台湾への日本人旅行者がコロナ前の水準に戻る一方で、香港はまだ半分にも戻っていない。
先日、香港で開催されたランチ和僑会で、
「どうしたら日本人旅行者は香港に戻ってくるのか?」
というテーマについて、参加者で意見を出し合いました。
そこで感じたのは、香港には魅力がなくなったのではなく、
「今の日本人が香港へ行きたくなる理由」を、もう一度つくる必要があるのではないか
ということでした。
なぜ日本人は香港に来なくなったのか?
まず避けて通れないのが、円安と香港の物価の高さです。
現在の為替環境では、日本人旅行者にとって香港のホテル代や食事代は以前より高く感じられます。
「同じ海外旅行なら韓国や台湾へ行こう」
そう考える人が増えても不思議ではありません。
さらに、地方空港から香港への直行便が減ったことで、地方在住者にとってアクセスしにくくなったという問題もあります。
そして、もっと根本的な問題があります。
そもそも日本人が海外旅行へ行かなくなっていることです。
日本ではパスポート取得率が低く、国内旅行だけで満足している人も少なくありません。
つまり香港のライバルは、韓国や台湾だけではない。
北海道、沖縄、京都などの日本国内の観光地もライバルなのです。
だからこそ、
「香港には美味しい料理があります」
「香港には素晴らしい夜景があります」
だけでは弱い。
わざわざパスポートを取ってでも香港へ行きたい理由が必要なのです。
実は香港には「わざわざ行く理由」がたくさんある
では、香港にはその理由がないのでしょうか?
私はまったく逆だと思います。
香港には魅力がないのではなく、その魅力を日本人に十分伝えきれていない。
例えば、香港ディズニーランド。
東京ディズニーランドと比べて比較的空いていて、キャラクターと触れ合える機会が多いことから、日本人旅行者にも人気があります。
ディズニーファンであれば、
「香港まで行く理由」そのものになり得るコンテンツです。
さらにオーシャンパークにはパンダがいます。
パンダ好きの多い日本人に対して、「香港でパンダに会う旅」という切り口も十分考えられるでしょう。
「東洋×西洋」の街そのものが観光資源
そして、私が香港の大きな魅力だと思っているのが、東洋と西洋が混じり合った街並みです。
香港島を歩けば、イギリス統治時代の面影を残した西洋的な建物があります。
一方、九龍半島へ行けば、中華圏らしい街並みや独特の生活感が残っています。
イギリス × 中国 × 香港。
これらが狭いエリアの中で混ざり合っている。
それこそが香港の面白さです。
そして夜になれば、ビクトリアハーバーのナイトクルーズやオープントップバスから、香港らしい夜景を楽しめます。
香港は「観光スポットを見る街」というより、
街を歩くこと自体がエンターテインメントになる都市
なのだと思います。
若者には「楽しい・可愛い・撮りたい香港」を
これから特に重要なのが、若い世代への情報発信です。
若者に、「香港には有名な観光名所があります」
と説明するだけでは、なかなか旅行にはつながりません。
それよりも、
「ここで写真を撮りたい!」
「この景色を動画にしたい!」
「これを食べてみたい!」
という感情をつくることが重要です。
例えば、特徴的な集合住宅として知られる「モンスターマンション」のような場所は、若者に人気があります。
こうした「楽しい・可愛い・撮りたい香港」をYouTuberやインフルエンサーから発信してもらう。
さらに香港の若者との文化交流イベントなどを組み合わせれば、従来とは違う香港旅行をつくれるかもしれません。
香港映画を「旅の入口」にする
もう一つ注目したいのが香港映画です。
映画を観て、「この場所に行ってみたい」
と思った経験はないでしょうか?
香港映画やドラマのロケ地を巡るツアーを企画すれば、香港旅行そのものが作品の世界を体験する旅になります。
ランチ和僑会でも、『トワイライト・ウォリアーズ』関連作品などをきっかけに、日本人旅行者が再び香港へ関心を持つ可能性があるのではないか、という意見が出ました。
映画、音楽、ドラマ、アニメなどのエンターテインメントには、
「その場所へ行ってみたい」と人を動かす力があります。
香港観光でも、もっと活用できるのではないでしょうか。
「食べる香港」から「整える香港」へ
香港といえば、やはりグルメです。
飲茶、ワンタン麺など、気軽に楽しめるB級グルメは今でも大きな魅力です。
しかし、これからは新しい香港の楽しみ方も提案できます。
実は香港には、ハイキングやトレッキングを楽しめる場所がたくさんあります。
例えば、
朝は自然の中をハイキング。昼は身体に優しい薬膳料理。午後は街歩きやスパ。夜はビクトリアハーバーの夜景。
そんなウェルビーイングをテーマにした香港旅行です。
「食べて、買って、帰る香港」から、
「心と身体を整える香港」へ。
これまでとは違う層を呼び込める可能性があります。
「香港+深圳」で過去と未来を旅する
さらに面白いと思ったのが、香港と深圳をセットにするアイデアです。
香港では、歴史、グルメ、夜景、東西文化を体験する。
そして深圳では、最新のテクノロジーや中国の新しい都市文化を体験する。
言い換えれば、
「香港で歴史を感じ、深圳で未来を見る旅」です。
特に経営者やビジネスパーソンにとっては、観光だけではなく「学びの旅」としても魅力的ではないでしょうか。
必要なのは「香港に行く理由」をつくること
こうして考えてみると、香港にはまだまだ日本人旅行者を惹きつける材料があります。
ディズニー、パンダ、香港映画、B級グルメ、夜景、歴史ある街並み、ハイキング、ウェルビーイング、そして深圳との組み合わせ。
問題は、香港に魅力があるかどうかではありません。
その魅力を、
「今の日本人が行きたくなる形で伝えられているか」
なのだと思います。
韓国や台湾が積極的に日本市場へ観光PRを行っているのであれば、香港も日本向けの情報発信をもっと強化していく必要があります。
そして、それは香港政府観光局や旅行会社だけの仕事ではないでしょう。
香港に住んでいる日本人、現地企業、ホテル、飲食店、クリエイター、YouTuberなど、一人ひとりが香港の面白さを日本へ伝えていくことも大切です。
必要なのは、
「香港は素晴らしい場所です」と説明することではなく、「それなら香港へ行ってみたい!」と思わせること。
香港は「昔人気だった観光地」ではありません。
食、歴史、自然、エンターテインメント、東西文化、そして中国の未来への入口までがコンパクトに詰まった、今でも十分面白い街です。
だからこそ、香港そのものを変える必要はないのかもしれません。
必要なのは、香港の魅力を今の日本人旅行者の価値観に合わせて「再編集」すること。
「久しぶりに香港へ行ってみようかな」
そんな日本人を一人でも増やすことが、香港観光復活の第一歩になるのではないでしょうか。






















コメント