第0回 香港和僑会 特別イベント

第0回
日本人倶楽部
香港和僑会 特別イベント
開催日
8月1日(水) 12:00 ~ 14:00
開催場所
日本人倶楽部
参加者数
0名
香港和僑会 特別イベント
◇ 物静かな桁外れの人――全ての国際化をお考えの人に
8月14日(火)に第26回講師の若井節子先生のはからいでスペシャルゲスト、あのフェニックスグループ荻野正明会長との昼食事会がもたれましたので報告いたします。
香港ドリームをかなえた日本人、荻野先生の関連記事はとても多い。
以下はその一部。
http://nna.asia.ne.jp/free/interview/zaikaidokuritu/zaikaidokuritu10.html
http://nna.asia.ne.jp/free/interview/gunzou/gunzou10.html
http://www.fashion-st.net/link/anteprima.html
http://blog.honeyee.com/atanaka/archives/2006/11/no_title_12.html
さほど売れていなかったプラダを香港で大成功させ、ブランド「アンテプリマ」のイタリアでの立ち上げ、そして今はファッション関連ばかりでなく高級スーパーの「シティースーパー」など傘下に抱える数十社の企業を束ねるトップでもある。
◇ 試験のヤマをはずされた気分
ということで、今回の荻野先生インターネットの記事や先生のインタビュー記事の載った本などを事前に読み漁って会食に臨んだ。
よし準備万端。
「あれも質問しよう。これも質問しよう」しかし・・・。
だが、お会いするや否や、いきなり1,2日前に新聞で発表されたばかりの『ユニクロの某国際的ブランドの買収断念』と言うホットな話題から始まった。
「結果としては買収しなくて良かったと思う?」と言うのが荻野先生の見解。
「ユニクロは2001年の経常利益率は25%…」「過去にもいろいろの国際的に有名なブランドの買収を繰り返しているが…」「彼らのコストは約50%。言い換えると一般的衣料関連のコストの2,3倍をかけている。これだけお金をかけているので当然質のいいものができる」静かな語り口だがポンポンと具体名や数字が飛び出す。
途中、師匠こと筒井和僑会会長からの質問
「ところでユニクロは香港のジョルダーノがモデルとよく言われるが?」
これに対して「品質の作りこみはユニクロが上」。
ジョルダーノの創業者であり元オーナーのジミーライ氏は香港の中国返還直前に香港の中国化を心配してあのリンゴ新聞を創刊した人。「やはり衣料への思い入れよりジャーナリズムへの思い入れが強かったのでは」と一同に妙に納得。
ちなみに皆さんユニクロのモデルとなった企業はどこだかご存知ですか?
私も、ジョルダーノとばかり思っていたのですが…。
それは…
荻野先生によると
「北欧初の家具屋であるイケヤ」
イケヤからユニクロが徹底的に学んだのは『いいものをいかに安くたくさん売るか』とか。
イケヤの凄さを物語るエピソードとして本立てをなんと常識破りの3000円と言う安値をつけて売ったこと。結果、世界中で3000万個売れた。
「それに比べるとハワイで当たった私のワイヤーバックなど2010年までに100万個の販売目標。それとは桁が違う。」
『100万個・・・。私には既に桁が違うと思えますが…』(独り言)
語り口はあくまでも淡々として、少しも断定的ではない。が、説得力がある。
しかしである。
ユニクロの話題自体とてもおもしろい話だが、肝心の“自分の話”には一向に向かう気配がない。
ここまで、ご自身ついては「若いころはとにかく不真面目だった。もともとは、起業しようなどと考えたことすらなかった」と謙遜にちょっと話すのみ。
「せっかく一夜漬けで勉強してきたのに・・・」全くヤマをはずされた気分。しかしこの時事の話題もとても面白い。と困っていると、さすがは、今回の会食をアレンジいただいた若井先生と筒井師匠。巧みな会話の誘導でその後は、徐々に本人のベールが剥がされていった。
41年前、荻野先生の香港でのスタートはけっして順風満帆ではなかった。駐在員として赴任した時の初めの住まいは“ペントハウス”。
と言うと聞こえはいいが、エスニックの間でも安宿で有名なあの重慶大厦(チョンキンマンション)での話。多民族が入り乱れるそこでのエピソードも、”ボヤ騒”ぎなどなど事欠かない。
その後、撤退のため日本に帰任命令を受けたが「せっかく自分で利益が出るように育てたこの事業をこのまま終わらすのは」と現地に留まることを決意して独立。事業は、初めの3年は綱渡り。独立後しばらく苦労が続く。
「マージャンで稼いだりもした」とまさしく「芸は身をたすく!?」
その後徐々にビジネスは軌道に乗り、そして発展。
1999年までやっていたプラダの香港代理時代シャングリラの店がピーク時には5~8分まちの『行列ができる高級店』へ。「50坪の面積で年間32億円の売上げはおそらく世界一では?」と桁外れの販売実績。
因みに荻野先生はペニンシュラの高級ショッピングモールに多いときはなんと5店舗も店を出していたということからも、そのビジネスの奥行きの深さが垣間見れる。その後、イタリアに渡り3年間そちらに住んで事業を。
「香港、日本、ヨーロッパではどこが一番ですか?」
と言う質問には
「どこもそれぞれに…」
もっとも、ヨーロッパで事業を始めたとき「出鼻から、ものすごいカルチャーショックを受けた」とも。
かの地で事業を立ち上げた荻野先生の第一声は
「これからみんなでガンバロー。儲けたらみんなで分ければいい!」
そう従業員に向かって発声すると言い知れぬ白けた雰囲気に。
いくら儲けても従業員にはスズメの涙。ほとんどオーナが独り占めするのがヨーロッパでの常識と後で知った。
また「イタリア人は友達としては最高。本当に親身になったくれて素晴らしいのだが…」とも。ある時、事情があり、働いてもらっている友人を辞めてもらうことに。
するとあろう事か、いきなり訴えられた。
「お金を貸した覚えこそあるが借りはない。そこまでやるか」と驚いたが裁判を受けてたった。そして出廷すると…。
結局相手は来なかった。
上記のような経験をするとその国を嫌いになりそうだが・・・。
「どこもそれぞれに…」各国のよさもバランスよくちゃんと理解する。これぞ本当の国際人。いやこれも桁外れの為せる業!?
そのほかにも話題は、「聖書文化と論語文化の違い」、「国家の品格」、「狩猟民族との違い」はたまた「NHK受信料問題」。ほかにも「論理的でないものはすべて否定されることの功罪」「誰にとっての公平か?」などなど多義にわたりあっという間に時間切れ。
「振り返って成功の秘訣は何ですか?」
ポツリと
「“●き”が7割、“人”が2.5割。そして後のほんの5%が自分の努力」
「え?」
「“好き”が7割ですよね?」と聞き返すと
「いやいや“ツキ”。たまたま“運”が良かったのです」
ふと連想した本のフレーズ。
『人間と言うのは、まったく同じ状況にあってもそこを、“天国”にしてしまう人たちと“地獄“にしてしまう人たちがいる。つまり天国体質と地獄体質の人がいるのだ』鶴岡秀子著『天国体質になる!』←仕事に悩むすべての人に。筒井師匠絶賛の一冊!
詳細はこちら
◇本日の気づき
「成功者は運の良さも桁外れ。いや、桁外れのツキを自分で呼びこむ、術を知っているというべきだろう」
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「いや~今日は本当にいい話を聞かせてもらった」
「ん?待てよ」
「し、しまった~。」
「シティースーパー設立の裏話など読者が興味を持ちそうな質問をいろいろ準備してきたのにほとんど聞けなかった。」
「後悔先に立たず」(反省)
でもご心配無用!
荻野先生が11月23日(金)にご講演いただけます。
荻野正明先生のお話はファッション関連の人たちばかりでなく全ての日本を飛び出して、なおかつ香港にとどまらず香港発の国際化を目指す人に必聴です!
荻野先生お待ちしております。
若井先生、素敵な昼食会の機会を本当にありがとうございます。
(文責 和僑会 上野)