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第45回香港和僑会

第45回

日本料理店 あげ半グループ 社長 安部 隆孝氏

第45回香港和僑会

開催日

1月23日(金) 19:00 ~ 21:30

開催場所

日本人倶楽部

参加者数

30名

第45回香港和僑会

【掲載記事、WEBなど】

http://news.nna.jp/free/interview/zaikaidokuritu/zaikaidokuritu03.html

http://www.m-jhks.gr.jp/activity_report/2008/04.html

◇秘伝の味の秘密

今回の講師あげ半の安部社長、独特でウイットの聞いた語り口は聞く人をあきさせない。それでいて失敗したこと、だまされたことなどまでスッと語ってくれた。さすがは味とサービスの求道者。聴衆の心をつかんではなさない、おもてなしの本質を考えさせられるようなお話だった。

逆に、

いやそれだけに、今回の議事録つくりには本当に悩んだ。

頼みの綱の議事録のエキスパート”拙速で候さん”が今回、事情で議事録を書けなかったことも、もちろん大きく影響している。しかし最大の問題はどうしても”味”が出せないこと、。何度原稿を書いてもその語り口の独特のテイスト〈味)が再現できなかった。

『さすがはお客を魅了してやまない一流料亭でもてなしを修行した人。臨場感なくこの語りをまとめたら気の抜けたコーラのような議事録となってしまう。』

しかし、考えてみれば安部社長は味の求道者。味で勝負してかなうはずはなかった。話のテイストを再現するのはあきらめた。

しかし、それでも何とか少しでも内容は再現したい。

◇これぞ海外起業家の本質

ところで、今までありそうでなかったのが起業家のための学校。

「起業家のための学校があったらいいのに。」

起業を考えている人あるいは起業したばかりの駆け出しの人なら誰しも一度ならずそんなことを考えたことがあるのではないだろうか?

では、もし起業家のための学校があったらどんな講義を聴きたいだろうか?

私だったら、MBAでやるような、大掛かりなバランススコアーカードでもなければ、IPO、あるいは現在価値云々という話は切羽詰って聞きたいとは思わない。

「起業家に必ずといっていいほど待ち受けている障害そして知ってさえいれば避けられるべき失敗について聞きたい」と思う。

今回の講演の内容はまさにそんな私の渇望を見透かしたような起業家のためのフルコースだった。

ずいぶんアッサリした味付け〈気が抜けた?)になってしまったが、議事録を読む人にはこの、まさに海外起業家のために話されたような今回の講演の本当の味を想像しながら堪能いただければと願っているやまない。

それではまずアペタイザーは安部氏の波乱万丈の人生から!

始まり始まり♪

◇ 前菜 安部社長の山あり谷ありの人生(武勇伝)

1)海外への想い:日本最高級料亭『金田中』の門をたたき修行。海外で活躍したいと74年から金田中が香港で経営する滋賀の牛鉄板焼きの『岡半』に赴任。そこで料理長へ上り詰める。 「34年前香港に来た。そのときの香港は何もない。日本の食材があるのは大丸ぐらい。何しろFAXもない時代。日本へ速達で注文して到着まで4週間かかる。そんな時代だった」

2)味へのこだわり:日本の食材も思うように入らないばかりでなく、また季節感も鈍ってくる。「このままでは自分の中の日本の味がくずれる」と80年に思い立って帰国。帰ったはいいが3ヶ月仕事がなくぶらぶら仕方がないのでパチンコ等をしていた。これには本当にまいった。人間は仕事をしていないといけないとしみじみ思った。

3)人との縁:バイトで食いつないでいると、金田中の会長から「そごう香港に金田中をオープンした。店長を引き継いでくれ。」との話が。世話になった方の頼み快諾した。

4)背水の陣:が暫くすると「やっぱり行くな」と会長が。驚いた。何でも香港では大のお得意さんの支店長とトラブルがあり狭い日本人社会で村八分状態。売り上げが落ち込み1000万円程度と食材しか買えない状態。あまりの業績のに会長もすっかりあきらめ顔。

これでむしろやる気に火がついた「3ヶ月から半年やって結果でなければクビでかまわない」まさしく背水の陣で香港へ。

5)誠実・勤勉・誠意:つくなり休まず働いた。迷惑をかけた先には足を運んで謝った。1年かけてお許しをいただけた。売上は半年後1000万円が2000万円。1年後3倍、2年後4倍。約束を果たした。

6)独立を決意:「はたしてずっとこのままでいいのだろうか?」ふと疑問がわいた。91年9月退社。「こけたら胸を張って帰ってこい。」といわれた言葉は心にしみた。

7)やとわれの難しさ:メンバーズ クラブ海(かい)ワンチャイで雇われ社長などもやったこともあったが共同出資者たちと意見が合わずやめる。6億負債を抱える。

8)あげ半オープン:フラマ〈以前香港あった高級ホテル)のオーナー〈フーさん)が日本料理やるならあんたに貸すといってくれた。

9〉大金を盗まれる:苦労して集めたオープン資金をだまし取られたこともあった。8000万円集めたが6000万円ペロンともっていかれた。以前100万円ほどかりた事のある相手。手元には2000万円しかない。さすがに寝れなかった。

10〉父親の一言:親父が「お前がだまされたのは金だけだろまだいい」「だました方はこれで一生浮かばれないよ」この一言で吹っ切れた。

11〉自転車操業の乗り切り方:店はありがたいことに客が入ったので日銭が入りまわった。

*ここで安部社長から聴衆へ質問

「お金が足らないときには皆さんはどんな優先順位で支払いをしますか?」

安部社長流優先順位:

「まずなんといっても従業員の給料。働く人が心配なら士気はあがらない。次に食材などのサプライヤー。しかしサプライヤーにも2週間程度とか遅れを待ってもらったことも。持ちつ持たれつで大抵はこころよく待ってくれた。その間「あげ半は危ない」と吹聴した業者がいた。当然の事ながらがそういうところとはその後一切お付き合いしていない。商売とはそういうものだと思う。次に家賃。一番泣いてもらって申し訳なかったのは内装業者の人。勿論、社長の給料は一番あと。ちなみに困っているときには銀行はなかなか貸してくれないものだ。」

◇メイン・ディッシュ 起業家が注意すべきこと

:香港の地の利、香港ならではの留意点とは?

1)たとえばよく某農業法人とかが何も知らずに物見遊山で視察に来たりするが、香港について何も知らないでポーンときても絶対駄目。肝に銘ずるべき。

:香港で(飲食などの)店を持つときの留意点とは?

2)ビザに注意:日本人の職人や駐在員のビザ取得は大変。料理人などでも30歳以下のビザ取得は難しい。

3)居ぬきに限る:居酒屋に内装などの設備投資は極力抑えるべき。個人的には居抜き(前の店の内装や厨房などの設備をそのまま引き継ぐ)が一番と考えている。

自分の例でも居酒屋やラーメン屋さんが70万~110万香港ドル程度の出費と自分で内装や厨房・冷蔵設備を準備するより断然安い。それに早く店が始められる。「金融津波」の今は出物の居ぬきを探すチャンスでもある。振り返っても経済が最悪なときに私がはじめた店はどれもうまくいった」

4)店のマネジャー:店の責任者には優秀な”香港人”を見つけるのがいい。

5)賃料に注意:香港の賃貸料はべらぼうに高いので場所の選定は注意が必要。

さらに香港は、経済の状況で賃貸料は大きく変動する。家賃方針の時期は特に注意が必要だ。たとえばつい最近更新したある店は$20スクウェアが一挙に35ドルにもあがった。しかしこのケースは売上費12%が13%になっただけなのでまだいい。(売上に占める割合が重要)一方ある店は更新したが2年間据え置き。正直これはラッキーだ。

6)人件費の相場を把握せよ:人件費も大きな割合を占めるので相場をよく知っておく必要がある。たとえばウェートレス$7,000~7,500、キッチン$7,000。調理場 $17,000~18,000といったところか?「うちはそんな出していないが・・・」とも。

香港で日本の味を守る秘訣

1)香港の客のレベルは高い:何しろどんどん日本に行ってうまいものを食べてくるのだから、お客の舌は本物の味をよく知っている。

2)香港の日本料理屋のレベルは?:お客がレベルが上がっているの対して、店のほうは日本から人が来てやっているときは結構ちゃんとしているが、日本人が厨房にいなくなるとだ