第54回香港和僑会

第54回

フェニックス集団会長 荻野 正明 氏

第54回香港和僑会

開催日

11月20日(金) 19:00 ~ 21:30

開催場所

日本人倶楽部

参加者数

30名

第54回香港和僑会

43年間香港で商売を営まれた荻野会長の語る“香港の魅力”は的確かつ地に足が着いていた。

そして何より面白かった。

「日本人の存在意義。日本とは全く異質の文化・習慣の香港で日本人として一体どのようにふるまい貢献すべきか?」以前から抱いていたこの疑問に今回の荻野会長のお話は大いにヒントを与えてくれた。

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【感想編】

◇小さくてクリーンな政府

香港に来たばかりのときは消防士が放水前にも賄賂の交渉をするのが当たりまえ。

「どのぐらい水をまく?(全焼で保険金がほしいか?それとも…)」

汚職まみれだった香港を変えたのがICAC(廉政公署/反汚職独立委員会)。荻野会長自身、ICACが設立した1974年当初には『汚職をなくすのに50年はかかるだろう』と懐疑的だったと振り返る。しかし驚いたことにその後わずか10年で世界屈指のクリーンな国となった。

香港は世界でも類を見ない小さな政府。健康保険・失業保険はもちろん年金すらつい最近の2001年のMPF(年金制度)開始まではなかった。

その代わり所得税は15%という低い税率。投資家にとってはありがたい投資や不動産のキャピタルゲイン、配当が無税。おまけに相続税も贈与税もない。法人税も16%程度。これに対して日本の法人税は40%以上。

荻野会長の香港の会社は1991年以来一度も税務署が調査にきたことがない。日本では税務署がよく調査に来る、「この調査コストたるや馬鹿にならない」と。

アメリカでも日本でも実現できない小さな政府をなぜ香港は実現できたか?それは「自己責任」の観念が香港で徹底・浸透しているからと荻野会長は言う。

日本では派遣切りの報道でも雇う側を非難する風潮があるが香港では考えられないこと。「首を切られるのは本人が悪い」と肉親ですら同情してくれない。それほど自己責任の考え方が徹底している。「明日、来なくていい」という解雇もOKなら「明日やめますも」OK。レッセフェール、一見無秩序のようだが周りに聞いても理不尽な解雇というのはあまり聞かない。むしろ日本の解雇のほうが陰湿のような感じすらある。

健康保険はないものの公立の病院は安い。たとえば盲腸の手術でも数千円といった驚きの料金。医者の腕も悪くない。病院での相部屋や患者の扱いの悪さ(犬猫並みの扱い?)が我慢できれば病気の際思わぬ大金がかかるという心配はない。

投資天国なので儲かる人はドカッと儲かる。従って1000億円を一晩で動かせるような金持ちも香港には少なからず存在する。「日本ではユニクロの柳井さんでもおそらくこれだけの金を一晩では動かせないのではないか」

もっとも、かつての買い物天国の地位は精彩を欠いている。以前は「3割4割安が当たり前」だったが不動産も自由放任にあがってテナントの家賃高騰。前ほど安くは売れなくなった。

交通も地下鉄は相対的に高いがタクシ、フェリー、バス、ミニバスなど選択肢も多く安くて便利。食べ物の値段も比較的上がっていない。

「より早く、便利に、豊かに」が今までの価値観。その中で天国だった香港。しかしこれからは価値観を変える必要がある。便利は本当によいことだろうか?

中国、インドが経済的に台頭していくのが確実なこれから、今までのような物質的豊かさを人口大国に分配していくことは不可能。

ふりかえれば60年前の日本は物がなかった。腹いっぱいになるなら何でも食う。「電話が入ったのが確か私が高校三年のころ。しかしお茶の間でラジオの落語を聞く。団欒の場があり会話があった。今より幸せだった気がする」

今はテレビも家族別々の部屋で見る。変な事件も多い。よってたかってホームレスを殺す事件とか子供が子供を殺す事件とか。

コンビニ弁当の膨大な廃棄量にはアフリカの飢餓のことを考えるとぞっとする。

飽食はいいことか?いや通風や糖尿病など引き起こすだけだ。

万能EPS細胞で血管や虫歯、肝臓などの再生も可能という。医療進歩により平均寿命は100歳を超えるのが確実ともいわれる。

温暖化も心配、精神的豊かさ快適さの価値観をシフトしてかなければ地球が「住めない星」になってしまう。昔、国は人と領土がほしかった。これからは食料、資源、水、エネルギーの取り合いとなる。

心のよりどころといわれる宗教も高じればお互いに相手を絶滅させる恐ろしさがある。 「もっと、もっと、もっと」から「足るを知る」「もったいない」へ。

◇成功の種明かし

手品の種明かしを聞くと「な~んだ」。しかし実際にやれるようになるためには練習を積んで初めて出来るようになる。

成功の種明かしも同じ。本とか情報は手品の種明かしのように成功の『種』を教えてくれる。しかし肝心なのはいかに『種』を実践し自分のものにするか。

◇香港での日本人の存在意義とは

43年お世話になった香港に恩返ししたい。物質面の豊かさを求めたのが今まで。香港はその物欲を満たす最先端だった。これからは精神面での豊かさが問われる時代。古き良き時代の日本的な文化や考え方をまず自分の周りから広げていければと思う。

◇子供に対する教育について

子供には自然を見せるのが一番の教育だと思う。自然から離れたら子供はだめになる。

たとえば馬や牛のお産を見ると本当に感動する。

以上               (文責 上野)

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【議事録編】

第54回香港和僑会 2009年11月20日(金)

講師:フェニックス集団 会長 荻野 正明氏

講演テーマ:

1 香港の魅力を再考察する

2 真のグローバリゼーションとは?