第62回香港和僑会
第62回
一圓克彦氏/富田 英太氏
第62回香港和僑会
開催日
8月27日(金) 19:00 ~ 21:30
開催場所
日本人倶楽部
参加者数
30名
第62回香港和僑会
第62回和僑会講演議事録 2010.8.27.19:00~
◆1.「0円で8割をリピーターにする集客術!」~咽から手が
出るほど欲しいリピーターはこう作る!実践ノウハウ~
講師:一圓克彦氏/(株)リピーツ代表取締役
氏は月2回程、香港に来られている。会社はリピータ作りに特化
した会社。税理士、弁護士等からの引合いが多い。
<講演内容>
20才の頃、飲食業を始めたが儲からず。昼間は介護、夜は居酒屋
の二本立てにした。後、ホームヘルパー(+警備員)の仕事を始め
た。毎月お金をもらう仕組みを考えた。大手企業が福祉業界に参
入してきて、会社が買収された。
合コンで知り合った妻の父の関係で(コピー用)トナーのリサイクル
を始めたが飛ぶように売れた。年商180億円(税引利益10億円)の
ビジネスになった。最初は原価4000円のものが2万円で売れていた。
競合との価格競争で、2年後には売価が4500円まで下がった。利益
は10億円から700万円まで激減した。
色々考えて、顧客管理のシステムを導入した。最初、2回買って
くれる確率は3割もなかった。トナーカートリッジを発注する客先
担当は女性の方が多かったが、交換を自分でしないといけない場合
が多く、あまり何度もリサイクル品を使いたがらなかった。
純正品ならサプライヤーのスタッフが来て取り替えてくれるので
自分の手を汚さないで済む為、リサイクル品は品質が良くないとか
いいわけして、2回目からは純正品を買う例が多かった。
そこで当社もトナー交換まで行うサービス要員を20人採用した。
結果、リピート率は30%から50%まで跳ね上がった。販売単価は4500
円から8000円まで回復し、売上は250億円、決算の利益は18億円まで
伸びた。次にリピート率を60%まで上げたら、売上300億円、税引利益
は20億円まで伸びた。安定期に入った為、ここで会社を退職。
リピート率を上げると会社は強くなる事がわかった為、「リピート
できる仕組み」の構築に集中、注力した。そして現在のコンサルタン
ト会社「リピーツ」を2008年に立ち上げた。まず「一緒に仕事をした
いと思わせる仕組み」を作った。リピート客が増えると以下のような
メリットが出てきた。
1)販促費がかからなくなる。新規顧客開拓のコストに比べて、リピー
ト客のコストは約1/12で済む。
2)経営者の精神状態がよくなる。
固定費より毎月の売上が上回る状態になり、精神的安定感が生じた。
3)従業が辞めなくなる。
リピータ(顔なじみ)が増えると客と親近感が生じ、今の仕事を続け
たいと思う様になる。従業員の募集コストも大幅削減できる。
(従業員1人の年収分ほど節約できる。)
◇リピータの種類◇
1)地理型:”そこにあるから”
2)属人型:”あの人のいる店に行こう。”
3)商品型:”10回分の料金で11回できる”(前払い回数券型)
4)記憶型:”今度の飲み会どこにしようか、、あ、あの店がいい”
(その時最初にイメージが出てくる店)
<攻略法>
自分の顧客が下記のどのパターンに属するかで、売り込みの方法
を分けて考える必要がある。
1)地理型の場合
その場所に看護学校があるとすると、そこだけを対象に売込みを
考える。近くに工場がある場合は、その工員の”作業衣の洗濯+
着替え場所+飲み会”がセットで提供されるような店なら必然的
に工員が喜んで客になってくれる。
2)属人型の場合
スタッフ以上、友人未満の関係を維持する。ちょっとだけ距離感
を近づける所がミソ。ちょっとしたプライバシーのさらけ出し等
が有効。直接商品の売り込みをしてはいけない。
3)商品型の場合
自分の商品の継続性は何か、常に考える事。回数券等は効果的で
ある。「子供手当」等もその時期に見合った商品提供ができるとよい。
4)記憶型の場合
ターゲット像はたった1人でよい。不特定多数の客をターゲット
像にしてはいけない。その人1人の詳細個人情報を50件ほど、とこ
とん考え(妄想でもよい)、その人1人が十分に満足できるような売
込みをすると、他の客も期待感をもって購入しようとする。
例:ハンコ屋
「どんな名前のハンコもありますよ。」ではお客は来ない。「一圓
さんのハンコもありますよ。」とアピールすると、他の客も「こん
な名前の人のハンコがあるのなら自分のハンコもあるかもしれない」
と期待して店に来てくれる。
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<Q&A>
Q1:今、電子部品を扱っているが、殆どがリピート客先で安定して
いるため、新規拡販の努力を怠り勝ち。いずれ将来ビジネスが尻
すぼみになる不安があるが、なかなか新規拡販に注力できない。
A1:一度、痛い目にあわないとわからないかもしれない。(笑)
「いつまで続くリピート客かわからない」と常々意識しておく事
が重要。
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Q2:客に思い出してもらえない、一般のアンケートは意味ない、DM
・セールスレター等が効果ないのならどうすればよいのか?
A2:思い出して貰えない会社はこの世に存在しないのと同じ、アン
ケートは自己満足にすぎない。DM等はリピータ作りには効果は
ない。「なぜこの服がほしくなるのか」というポイントに注目
したアンケートは効果あると思う。(客がほしくなる理由を客
自信に自覚させるようなアンケート)
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Q3:属人型の場合、「微妙な人間関係」でのアプローチは大変難し
い気がするが。。
A3:売る側の専門家としての苦労話とか、相手がちょっと信頼感、
親近感を持つような付加情報を載せると、関心を持ってもらえる
。積極的に押しつける姿勢は好まれない。軽い距離感で、興味を示
す人だけ相手にすればよい。リピータになり易い客だけを選べば
よい。不特定多数を相手にする必要はない。割り切りが必要。
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◆2.「お金をかけずにお店を繁盛店に変える手法」
~小さなお店に特化した稼ぎ方と経営手法はこれだ!~
講師:富田 英太氏/(株)アチーブメント・ストラテジー代表取締役
富田氏は香港初訪問。(氏の祖母は大の香港ひいき)、2008年に
「お金をかけずにお店を繁盛店に変える手法」、2009年に「繁盛店主
の七つの教え」を出版。現在、ベトナムの和牛焼肉屋の開設運営の
手伝いをされている。
<講演内容>
最初のころは、大学受験とか色々失敗してきている。最初20才で
システムエンジニアになったが、2年半で鬱病になり半年家に引き
こもった。実家はあまり余裕がなかったので、いつまでも家でいる
わけにもいかず、西宮駅北口前公園で友人の果物露天商を手伝った。
軽四トラックの借り賃1500円/日。果物の仕入5-6000円/日。売上
は5万円。(利益率80%)非常にボロイ儲けだった。
トラックの横に居るだけなので、公園で色々な人を見れた。よく話
かけられた。客と話していると、客に喜ばれたし他の客も寄って
きた。馴染みの客の女子大生が果物を売ってくれた事もあった。
「これ、いらんかね」では物は売れない事がわかった。おばあちゃん
は話すると孫の自慢話になる。3時間もおしゃべりした事もある。
そのうち、商売がへるからと、商店会からクレームが来るようにな
った。なぜか水上警察の人がやってきて、ここでは商売は駄目と言
われた。その筋の怖い人もやってきた。北口では疲れたサラリーマン
風の人も多かった。その店の手伝いは半年でやめた。
次に人材派遣会社「リクルートスタッフィング」に登録した。リク
ルート本社に派遣され、バックオフィスの業務をした。そこの営業
部長から営業をやれと言われた。リクルート社員でもなかなかなれ
ないキャリアビュー職についた。そこでは3年働いたら、会社支援
で独立ができるという事であった。
24才の時に通販の会社を設立した。死にものぐるいで勉強した。
1年で社員10名の会社になった。ある日夜11時に社員全員に呼び出
され総スカンで社長をやめてくれと言われた。それまで従業員の
マネジメントなんてまったく考えた事がなかった。
祖母が他界し、25才で運送会社をひきついだが、2トンのロング
ボディーのトラックも運転が難しくよくトラブルを起こしていた。
会社の経営も祖母の人脈がなくなり、どう切り盛りしていけばいい
かわからず、会社をたたまざるを得なくなった。
会社2社解散の経験を経て、経営の勉強をしてみたいと思うように
なった。船井総研のコンサルタントをやっている先輩のカバン持ち
をさせてもらった。「(金がとれないから)もうかってない会社は手
伝うな」と言われたが、自分は小さな会社の手伝いをしたいと思っ
た。中小の会社は「あすどうなるか」の心配だけで一日が終わって
いる。それを何とかしたいと思った。
最初に26才で美容師のコンサルタントから始めた。とにかく現場
主義を貫いた。大阪では大体「コンサルタントは詐欺師」と思われ
ている。3ケ月で成果が出ないと信用してくれない。結果、小手先
勝負ばかりになってしまい勝ちであった。しかしこれでは、長期的
手は打てず、目先対処しても、一年経ったら元の通りになってしま
う。
うまくいっている会社の社長は戦略と戦術をうまく使い分けている
。80%は戦略に頭を使い、残りの頃20%は戦術に頭を使っている。
「戦術(Strategy)」は将軍の策、「Tachtics」は掃除夫の策と言わ
れている。(後、兵士の策とも言われている。)後者は毎回同じ所で
同じ行動を起こしている。いつも「(赤字で)助けて欲しい。」と
言っており奮闘しているが、「汗」と「売上」が一致していない。
戦略は「どういう風に山を登るか」事前に計画する事であり、戦術
は実際に山登りをする事である。中小企業は大体、前者の考えを
する余裕がない。戦略は「優先順位を決める事」でもあるが、繁盛
店の分析をしたら、同じ所で同じ事をやっても、繁盛店と其他の店
ではやる順序が異なっていた。
新規に店をオープンした場合、普通は最初にチラシとか販促活動を
やりたがる。それが、まあまあのレベルの店であっても「もう一度
行きたい」という気にはならず、他の人に対しても「大したことは
ない」と感想を述べるのが普通。それを聞いた人は決して行こうと
はしない。そういった店はせいぜい半年もてばいいほう。繁盛する
店は最初はこっそり開業し、色々改善したあとで、広告を打つ。
リクルートもホットペッパー等で飲食店のクーポンとか扱っている
が、「新規客のみ割引」というのが多い。なぜ一見客のみの割引か、
それがないと客はもうこない(他にセールスポイントがない)と分か
っているのでやめられないでいる。
逆に、リピート客の口コミを上手く使っている店は、販促も不要で
あるし、金を掛けずに効果ある宣伝ができている。収益がよくなる
といい店作りにも注力できる。
バケツに穴があいたまま、水を注ぐと水は漏れ続ける。売上は増え
ない。穴をふさいでから水を注ぐ考えが必要。経営者の智慧と能力
が求められる。
<ゴールに向かってやるべき事>
1)目的:経営者の8割は最初から持っていない。あっても3年で
忘れてしまう。理念は明確に持っておくこと。(重要)
2)目標:中間地点の目標を持つ。成功と失敗を振り返る事。数字で
検証する。
3)現状把握:現状を正しく認識する。(感情が入る。)
4)GAP :目的と現状の差を課題として捉える。
5)優先順位:その中で重要度の高い課題から片づけてゆく。
6)PDCA:Plan=>Do=>Check=>Actionを繰り返してゆく。
7)1)~6)を継続して行う。(継続は力なり)
<基本的優先順位>
1)経営者の意識改革
2)現状の把握
3)理念の確率
4)ブランディング
5)事業計画の立案
6)財務戦略
7)スタッフ採用
8)人材教育
9)接客品質の向上
10)客の囲い込み
11)新規集客拡販
12)客単価のUP
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<Q&A>
Q1:広告はクーポンなしだとお客が持って帰ってくれない。
痛し痒しであるが、、、
A1:クーポンは基本的にはリピート化には繋がらない。ホットペッ
パーには繁盛していない店の広告が多い。広告を打つ前にお客
に来てもらえるような店にする事が重要。一年くらいのスパン
で(広告主に)見て貰うべきである。
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Q2:口コミが広がるから繁盛する、と言わるが、口コミは難しい。
A2:なぜ口コミが広がるか?最初にどの店が頭に浮かぶか?
売り込もうとしても売れるものではない。
★いかに共感できるか★が重要。もうかっている店は経営者
の顔が見える。
①「人」 その店のTOPの人となり、
②「商品」商品のよさ、
③「ストーリー」ちょっとした小話、
上記の共感ポイントで客を誘い込む事が効果的。
以上