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第104回定例会

April 25, 2014

 

 

 

第104回

OPA Int'l Ltd. 代表取締役 佐々木 英郎 氏

開催日

4月25日(金)   19:00 ~ 21:30

開催場所

TKP カンファレンスセンター湾仔

参加者数

41名

 

第104回定例会 「海外における真のマーケティングの重要性」

 

自分の経験談とか、実際感じている事を率直に話させていただこうかなと思っています。個人の考え方なので、参考に聞いて頂ければと思います。

 

<独立するきっかけ>

最近お会いする方には“シュークリーム屋さんの佐々木さん”と言われますが、実際はアパレルをやっている会社です。香港25年目になります。志高く、一旗上げてやろうと思って香港に来た訳ではありません。香港には駐在員として、2年間という約束で来ました。独立しようとか気持ちは毛頭無く、2年経ったら帰ろうと思っていましたし、最初の3ヶ月とか半年は嫌で嫌でしょうがなかった。そういう状況の中、2年が経ち、人事部長が絶対に帰すと言われてたから、「そろそろ帰らせてくれるんですか?」と話をしたところ、約束した人事部長が半年前に更迭されて、いなくなっていた。「そんな話は無いよ。」と言われてしまった。

その後、4年くらいまでその会社に勤めていましたが、そろそろ、自分のライフスタイルとか人生設計を考えないとヤバイなと思い始めて、5年目くらいにどうせ会社で働くなら、自分で会社をやりたいかなと思い始めた時、たまたまそのタイミングで独立するような話があったので、6年経った時に独立しました。それから18年になるんですけれども、18年間全てが上手くいったという訳ではなくて、結果的にいろいろな事をやっているんですけれど、まあ、実際失敗した事の方が多いですね。まずはこれまでやってきた中で、自分自身にとっていい経験になったというような事をお話させて頂きたいと思います。

 

<パートナーシップの難しさ>  

未だに大変だなと思うものの一つはパートナーシップの難しさですね。起業する時、まず最初に必ず出て来るのがパートナーシップだと思います。どういう人と、どういうパートナーシップを組んで事業をやるかが、かなりキーになると思います。それによって成功もするし、失敗もするようなことがあります。自分もその都度、それなりに勉強していますが、未だに苦労しているのが正直なところです。そんな中で2つの大きな経験をお話したいと思います。

 

18年前に独立した時、パートナーシップを組んだのは日本のあるブランドの店舗展開です。ちょうどそのタイミングのファッションと上手く合って、最初はかなり売れたんですね。大体3年くらいで末端の売上げで10億円くらいになったのですが、なかなかファッションって、上がるとほとんどの場合、上がった放物線のまま落ちるんですね。まあ、その落ちない為の努力をしなければいけないんですけど、最初始めた時はそういうことも考えてなくて。イケイケで高い家賃でもガンガン出店して。落ち始めた時にどうしようかと考えたんですけど。大体、事業やる時にパートナーシップでもそうなんですけど、いい事しか考えない。始める時にダメになることはあまり考えない。儲かる事ばかり考える。儲かっている時はいいんですけど、儲からなくなった時にどうするか。結局、その会社は3年で10億くらいまでになったのですが、思惑というか、パートナーとの考え方が合わなくて、その会社に関しては5年で辞めました。これは正直、かなりきつかったですね。10億売上げがあるということは、10億の経費が掛かっていましたので。マイナスを背負って次の会社を始める事になりました。ただ、逆に言うと、そのタイミングでそういう経験が出来たので、自社ブランドを立ち上げた時にパートナーシップは苦労した中でも自分の基盤になっている。今あるのはその時のおかげだなと思ってます

 

もう一つは全く別のパートナーシップで、絶対上手くいくと自信がありました。下着のブランドを一緒に立ち上げようと始めたんですが、事業を成功させるという大前提でお互い始め、条件的に絶対成功するだろうと関係者は思っていた。ところが、実際に蓋を開けてみると全然上手くいかない。理由はいくつかあるんですけど、後で話をさせて頂く「マーケティング」の部分ですね。要は自分達の中でビジネスのモデルとしては成功する要因が揃っているけれども、実際に誰にどういうふうに売っていくのか。という詰めが甘かった。これだけやれば成功する“だろう”というところがすごくあった。あぁ、こういうこともあるんだなと。パーフェクトだと思って絶対成功するだろうと思っていても、上手くいかないことがやっぱりある。最初のケースのように、パートナーシップの思惑が違うから上手くいかないというビジネスもありますけど、逆にお互いのベクトルが一緒に向かっていても、上手く行かない事もある。パートナーシップの難しさは、カレー屋にしてもシュークリームにしてもそうですし、いろいろなパートナーシップをやりながら、日々勉強しています。でも、やっぱり成功するとか失敗することもパートナーシップというのは重要だなと過去の経験から感じています。

 

<中国進出の失敗談>

次は自分の中ですごく大きな判断ミスというか、事業の失敗の話です。

中国に進出したんですね。2005年の段階で進出を決めて、2006年に進出したんですけど、最終的には去年の秋の段階で事業としては撤退しました。当時、自分の会社も始めてちょうど10年近くになっていたので、将来、自分の会社をどうやって持っていこうかと考えていた時、ある銀行さんから「これからの時代、会社のバリューを上げるなら、中国に行かないとだめですよ。」と言われたんです。その時、香港も景気が良かったので、自分自身も「ありかな」と思って進出することを決めました。そして「以前から一緒にやりましょう。」と言われていた日系大手の総合商社さんと合弁弁の会社を立ち上げました。担当者の方は中国事業をされていた方で、商社さんとは物流関係や出店先のネゴなどの役割分担もはっきりさせたので、上手くいくかなと思って、中国で事業を始めたんです。

でも、実際蓋を開けてみると全然話が違うんです。まず、商社さんは物流が出来ない。出店先のコネが効かない。そして、現地オペレーションされている方は実際、裸になった時に何も出来ない。それから何とか赤字を止めて、プラスに出来たのですが、今度は違う問題が出てきた。初めて利益が出た時、合格証のミスが発生して政府から半端ではない、納得出来ない罰金が出て。その時、やっぱりここは中国なんだなと思った。そのうち、スタッフの訴訟問題が起こるようになった。それから「僕らにとっての中国事業の意味って、実際何だろう?」と考えた時に、ほとんど意味がないという事がわかった。その後、最初に中国進出を進められた銀行さんに会い、中国事業はやめることを話したところ、「中国は香港の企業でも誰がやっても儲かりませんよ。」と言われた。

 

<マーケティングの重要性>

よく皆さん「マーケティング」と言われますが、ウィキペディアで調べると、「顧客が真に求める商品やサービスを作り、その情報を届け、顧客がその商品やサービスを効果的に得られるようにする活動」と紹介されています。

何でマーケティングが海外で何で重要かというと、誰に何をどう売るか?ということが結構重要で、特に日本人で日本の企業で日本の事業をされる時は、まずは「日本ありき」の話になるケースがかなり多い。やはり、日本のブランドまたは日本の事業を海外に持って行きたい。既にあるものをベースに進めてしまうので、マーケットが分かって事業組み立てる前に 撤退せざるを得ない状況の企業がすごく多い。

「マーケティング」とか「ブランディング」という言葉がすごく嫌いな方がいて、もういない方なんですが、スティーブ・ジョブズです。嫌いだった理由というのは、単純にクリエーターの方にとっては「マーケティング」とか「ブランディング」というのは多分、後からついてくるもので、自分が開発した商品がマーケットやブランドを作るという考えた方だと思います。ただ、多くの方はクリエーターではなく、マネジメンター的な仕事をされる方が多いと思います。そういう人にとって既にあるブランドだったり、サービスや商品を売っていく為にはやっぱり、「マーケティング」と「ブランディング」が必要不可欠とすごく思います。

僕達が海外で生きていくとか事業をする強さは「日本人」である事だと思いますし、「日本を知っている事」だと思いますし、その事をアドバンテージとして利用するべきだと思います。それを利用しながらどう事業化していくのかと考える上で「マーケティング」「ブランディング」が、かなり重要なポイントになるのではないかと思います。

 

<日系デパートがいなくなって残したもの>

ここで一つの例としてお話をさせて頂きたいのが日本のデパートさん。

80年代の香港に松坂屋さん、大丸さん、三越さん、そごうさん、伊勢丹さん、東急さん。日本のほとんどのデパートさんが進出された。そして90年代に入って、一つなくなり、2つなくなり、2000年になってほとんどが残ってない。

一般的に言われているのは「香港は家賃が高いから、デパートは出来ない。」という話です。家賃が高いというのは明らかで、理由の一つとは思いますが、それが全てとは思いません。

デパートさんが「もたらしたもの」、「いなくなって残したもの」を見ると、何となく、日系のデパートさんが何故、消えてなくなっていったかが分かる気がします。まず、日系のデパートさんがもたらしたものは、単純に日本の文化だったり、ファッションだったり、日本企業の現地参入に貢献していると思うんです。では、日系デパートさんが帰られた後、どうなったかと言うと、現地資本のデベロッパーだったり、デパートが競争力というかレベルが上がり、日系のデパートが魅力ある存在ではなくなってしまったということが一つの理由であると僕は思うんです。

これは最近の日本でも言われていることなんですね。ユニクロとかH&Mとかのファーストファッションが台頭してくる中で、日系のデパートは苦労している。百貨あればいいという時代から、今はそういう時代でなくなってきている。それと似ていた状況が香港で先に起こっていた。現地資本の人たちが勉強していって、日系のデパートは要らないという話が出てきた。

もうひとつ逆の理由があって、日系のデパートさんが来て、日系企業の参入を貢献し、既に日系企業は既に出てきているから、デベロッパーにとっては直接、日系企業と契約することが出来る。それならば「既に出てきている企業を選ぶだけのデパートさんは要らないですね。」という話になった。こちらで出てきているデパートさんは日本でやられてきたことの焼き直しなので、新しいものは出てこない。そういった中で、マーケットでの存在価値の低下というのも理由の一つとしてかなり占めているのではないか。彼らも自分たちで出来ると自信を持ってきてしまって、そういう流れの中で日系企業は何がやれるかを考え、僕たちは何を学ばなければならないのか?というが僕も一番、感じるところなんです。

今、ファッションは儲からない時代なんです。H&MとかFOREVERとかが極端な話、1年中バーゲンやっているような価格帯で、1枚100ドル以下のような商品を何十万ドル、何百万ドルという広告費を掛けて広告している訳ですから、普通のブランドにとっては太刀打ち出来ない状況なんです。そんな中で、どうやって生き残っていくのか考えざるをいかない。自分達の存在価値というか、住むべき場所はどこか?どういうことを訴えることによってお客さんに選んでもらうか?を考えられないと居なくなるしかない。そういう部分がすごく重要。

自分の中で「見る目」とか「考える能力」を持てるかどうかが、大きな意味でビジネスチャンスを掴めるかどうか。マーケットの難易度が上がれば上がるほど、その部分はすごく高くなってくる。でも逆に言うと、日本人で現地で起業しようとする人って結構少ないので、そういう人達にとって、ここに根付いてチャンスを見ながら、日本のあるブランドだったり、文化だったりをやる機会というのはあると思います。

 

<「和僑」としてのビジネスチャンス>

まだまだ日本に比べると海外、その中でも香港はレベルが高い方ですが、マーケットの隙間はあると思います。そこを見極めて自分たちにしか出来ない事が「真のマーケティング」であって、ビジネスチャンスなのかなと。じゃぁ、結局それをどうやる?と聞かれたら、自分を磨くしかないんですけど。やっぱりあるのは、競争の思い込みとか、人の言葉とか、一般論。家賃が高いなんて誰でも知っていることで、家賃が高いから出来ないなんて言っていたら、もう絶対出来ない。本当にそうなの?安く出来て、儲かるところはないの?とか疑っていかないと、ビジネスチャンスは出てこないんじゃないかと思う。特に日本人の場合、島国だから結構思い込みが多くて、「もう、こうだろう。」という人が多い。これは教育とか文化のレベルも均一化されているから、常識が常識として通用していて、それが海外に出る時の壁になっている。

このような現状を伝え、橋渡し出来るのが現地の「和僑」なんじゃないかと。「和僑」としてのチャンスというのは、日本人であるということのアドバンテージを生かしながら、現地にいるということのアドバンテージを加えて、それをどのようにビジネスチャンスにつなげていくか。そういう意味では、マーケットをよく知って、もう一つは自分自身をよく知って、自分の強さを生かしていくかといことが大事なんじゃないかと思います。

 

以上が大体お話したいことなのですが、最後にマーケティングとは直接関係ないのですが、僕自身が仕事してきた中で好きな言葉があるので紹介したいと思います。

 

<どれだけ準備しているか>

ジョナサン・スコットという人の「運と運命」の話です。

彼はネイチャーフォトグラファーで動物を中心に写真を撮られている人なんですけど、周りの方からよく、「相手が自然や動物なので、仕事が運任せになってしまって大変ですよね。」と言われたそうです。

その時に彼が言っていたのは、「自然とか動物の素晴らしい情景に出会う運というのは皆さん均等にある。だけど、自分はそういったスポットとか場面に行った時に瞬時に適正な露出とかシャッタースピードとか、全ての撮影準備を出来る努力をいつもしている。だから、自分は『運』を『運命』に変えれるんだ。」「運命というのは、運を利用する方法を知っている者にしかやってこない。」と話したんですね。要は結局、その「運」を掴むか掴まないか、運を「運」と気づくか気づかないかは、“どれだけ準備しているか”ということを言われていると思って、僕が好きな言葉なんですけど。

皆さんも「運」を「運命」に変えるような努力をされる中で香港の「和僑」として成功されればいいなと思います。ご清聴有難うございました。

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