第109回定例会
第109回
TOP&TOP LIMITED 董事総経理 田中 博氏
開催日
9月30日(火) 19:00 ~ 21:30
開催場所
香港和僑会オフィス(http://www.wa-kyo.org/contact)
参加者数
43名
「人生いろいろ、小売もiroiro」
香港では 「セントラルを占拠せよ」(占拠中環)運動がこれから激しくなるのは後で知る事になりますが、参加者の足にも影響が出始めている状況での開催です。
さて、本日の講師は 「TOP & TOP Limited」 の田中様です。今回は対談形式なのでお相手は 「すし廣」 の吉田様による関西の調子です。
テーマは 「人生いろいろ、小売もiroiro」。時は1988年、バブル状態の日本が面白くないと感じ、父親が駐在している香港に取りあえず渡航。そこで美術学校のスキルを生かして工場に関するデザインを手がけたのが香港でのスタート。そこで知り合った人に助言を受けながら鞄の卸し・販売の店を立ち上げたのでありました。
ファッション雑貨、香港を始めマカオ、シンガポールにも広げた店舗の数は26。その中で好調なのがコーズウェイベイ、セントラル、尖沙咀の店舗。と言うのがオーソドックスではありますが田中氏の口から出た本音です。
香港の小売業の問題点としては、先ず店舗家賃の高さです。家賃の交渉が折り合わなくて撤退する企業も多いと聞きます。この辺りの対策を吉田氏が引き出そうと話を向けましたが、「交渉のポイントは私も教えて貰いたい」 と、かわされてしましました。
所で、中国のマーケットは不調でトラブルや代金回収の問題など良い思いがない半面、フィリピンは若い人が多くてショッピングが好きな国民性。など今後のヒントになりそうな発言もありました。
また、マカオに出展している経験から香港との違いについて、中国からの旅行者が多い事、リピーターがお金を持ってやって来る。など面白い話を伺いました。
現在の懸案としては、中国で生産しているもののコストアップだそうです。
*** 店舗運営についてアドバイス ***
店舗経営で一番気をつける事は 「人の管理」 TOP & TOP の場合はマネージャーを育成し、管理させて自分はそのマネージャーを管理。結果を出した社員にはインセンティブを出す、香港は成果主義。
とにかく定着率は悪いし、人材確保には苦労する。日本では 「このブランドが好き」 と言う理由で働く人も居るが、香港人では皆無。
*** 田中氏の経験談 ***
1、日本から買い付けた物を香港で販売して、受けた為替の影響。
1995年の円高で販売価格を調整せざるを得なくなり、香港で値上げしたら極端に売れなくなった。
それから中国で生産したものを販売し、売れるようになったのが自信につながる。しかしながら、日本製と中国製では明らかに品質の違いは認めざるを得ない。
2、自社で扱っている商品を台湾の会社に商標登録されてしまったので、それから日本のブランド元と一緒にその相手と5年間に渡る訴訟を行うが、結局は全面的に自社の言い分は認められず和解する事となる。
3、サーズ
社員、販売員から病人が出るのを心配していたが、結局売上に影響が出たのは最初だけ。客層的には若い人が対象だったので顧客に対してはあまり問題にはならなかった。
問題は日本の対応。中国製のサンプルを日本に送っても3日間は開封されないで放置される。また日本への出張訪問は断られた。
*** 田中氏からのアドバイス ***
1、自分を信じて、継続してやることが肝要。
一つの事を3年やれば何とかなる。
自分を過信しすぎるのは問題ですが、自分を信じて行動。
2、自分のビジネスのスケール感。
どこまでやりたいか、ビジョンを持つ。
以下、参加者からの質問に対する回答(Q&A)
1、店頭の万引き対策について。
万引きのリスクは折り込んでいる。
高額商品は管理しているが、安い商品にはコストをかけられない。
2、同時期に発生したトラブルについての対策は如何にポジティブに切
り抜けるかがポイント。
3、知らない土地でのビジネスはパートナーを上手く利用すると良い。
パートナーとの役割分担。
4、香港同業他社の対策
旺角の安物品とは同じ土俵では戦わない。
5、海外でビジネスをやる場合、成功するまで帰らないという気持ちで
お願いします。
(文責:香港和僑会、執筆:香港和僑会会員 黒尾 登さん)