第8回フィナンシャル分科会

タイトル
第8回フィナンシャル分科会
開催日時
4 月 29 日 (水)
内容
「スイス人から見た日本人」~投資に対する姿勢について感じること~
今回は 「スイス人から見た日本人の投資に対する姿勢について」 と言うテーマで、香港和僑会の会員であるスイス人のローランド・ヨッシーさんから日本語で講演いただきました。
ローランド・ヨッシーさんについて
日本との係わりも深く、奥様は日本人で何度も日本での居住を経験しています。最初に日本と言う国を意識したのは札幌冬季オリンピックのスキージャンプ競技で日本人選手が金メダルを獲得した時。ウインタースポーツが得意なスイス人として驚きました。また同時期に近所の人が日本製の車を購入した事も、ドイツ製を始めとするヨーロッパ車とアメリカ車以外にアジアの国から輸入した車を見て大変な興味を覚えました。
そして日本の原宿で日本語を学んだ後、日本で働いていた当時に気が付いたこと。
XX 会社のローランドです。
これが日本人のスタンダード。
ローランドは XX会社で働いています。
これが外国のスタンダード。
スイスの金融制度について話をします。
~ 1934年に制定されたスイスの銀行法 ~
「銀行の口座について個人の情報を外部に漏らした全ての者に対して刑事罰を科す」この徹底が、「セキュリティー・安全」 「プライバシー」 「コンフィデンシャル・機密性」 に繋がり顧客からの信用を得て、この受信がスイス銀行の発展に繋がるのです。また世俗的に 「スイスの銀行は後ろめたい金融資産の避難場所」 との印象がありますが、現在に於いてその様な事は絶対にありません。例えば身辺確認が厳しいので、犯罪に係わる様な人は絶対に口座を開設できません。
スイスでプライベートバンキングが盛んな理由について。
・長い歴史
・政治的安定
・永世中立 (武装中立)
・経済力 (スイスフランは強い通過)
これらの要素でスイスは金融国として世界中の信用を得ています。
*講演の後で 「スイスはタックスへブンでもないのに、どうして皆がスイスに資金を持ち込むのか? との質問を受けましたが、その答えがこの 「プライベートバンキングが盛んな理由」 です。
日本の皆様にスイスから来た金融マンからのメッセージ
大半の日本人は金融と政治に対して興味が少ないと思います。スイスの人は子供の頃からお金の節約や管理、投資について興味を持つ様な指導を家庭でも行っています。また、小規模な会社でも株主の食事会などを開催して企業の説明や将来の展望を語り、質疑も行っています。株主達は興味を持って積極的に参加します。
投資について
ファンド運用を人に任せるか自己責任で運用するかについて、日本人の投資家は人に任せる傾向が強いのですが、自分の責任で売買して、自分で責任を負うべきだと思います。自己資金の運用を人に任せるのは賛成出来ません。ちょっと考えてみましょう。運用する人が本当に資金を増やせるなら、自分の資金だけを運用して他人の資金を運用して得る手数料なんて興味がない筈です。
日本の人口減少について
今後は特に労働者人口が減る傾向です。これは国が皆さんの為に何をしてくれるかではなく、個人が国の為に何が出来るか。で考えてください。
選択1、何もしない事。
選択2、労働力になる移民を受け入れる。
選択3、子供を増やす。
*日本人は子供を増やす努力をして下さい。
スイスにおける事例として、移民を受け入れました。現在ではスイス内の居住者に於いて 3/4 (600万人)がスイスパスポート。 1/4 (200万人)が外国人パスポートになります。居住者の合計は約800万人、スイスの居住者は香港より多いです。EU の人は自由にスイスに入国する事が出来て、仕事が出来る制度ですが、日本に当て嵌めるのは少々無理があります。
(文責:香港和僑会、執筆:香港和僑会会員 黒尾 登さん)