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第110回定例会

October 15, 2014

 

 

第110回

A-1 Bakery Co., (HK) Ltd. Managing Director 楊井 元伸氏

開催日

10月15日(水)   19:00 ~ 21:30

開催場所

香港和僑会オフィス

参加者数

35名

 

第110回定例会 「A-1Bakery 30周年を振り返って これまでの経営とこれからの経営」

 

第110回香港和僑会の定例会は、A-1 Bakery Co., (HK) Ltd. の楊井元信社長を講師にお迎えし、同社が1985年に香港でパン・製菓の製造・販売を中心に、フード事業を立ち上げたきっかけから、30年の歴史、そして明日に繋ぐための経営戦略について、凝縮された1時間超の時間で一気に語って頂きました。ベーカリー事業ということで、講演が始まる前までは、よだれが出てきそうな甘くて、美味しそうな話を思い描いていましたが、“上手くて、美味しい”ものを、事業として成り立たせ、継続、維持、発展し続けるために必要な辛い、塩っぱいの経営スパイスがたくさん詰まった話が展開されました。

楊井社長の経営スパイスで、A-1 Bakery (香港)は、現在正社員800名、アルバイト300名を抱え、年商約5億HKドル、45店舗のベーカリー・ショップ、15店舗のレストラン、パン・製菓工場各2工場を有するまで大きな事業に成長しました。

よく、起業は誰でもが出来る、でも起業を事業に進化、発展させていくのはほんの一握りの人たちでしかないと言われます。楊井社長の場合は、日本で既に楊井社長のお父さんが創業されたA-1 Bakery 事業を海外で展開していくということで、純粋な意味での起業ではないかもしれませんが、文化、習慣の異なる国で事業に取り組むことは、ある意味ではその地に根を降ろした国で、新たに起業すると言えるかと思います。

楊井社長が起業を事業に進化、発展させた一握りの人たちに数えられえる大きな要素は次に集約されるのではないでしょうか。

(1) 人との出会い

(2) 節目、節目での運

(3) ゆるぎないコミットメントと決断力

(4) 旺盛な学ぶ意欲

(5) 実践力

先ず、最初の「人との出会い」ですが、社長のお父さんが1948年に日本の関西で創業したA-1 Bakery事業を、この先成長、拡大が望めない日本の市場生き延びていくために海外進出を決めた時に、当初念頭に入れていたタイ、マレーシアではなく、香港になったのは、香港に立ち寄った時のある人との出会いが、1985年に香港に根を降ろすきっかけとなりました。事業を開始した当時は、いまほど人件費、諸物価は高くありませんでしたが、30年後の今日に至っても香港の利である税金や事業を行うのに自由度が大きいことを考え合わせると、人件費、不動産が高騰してまった不利な点があっても、香港で事業をする価値はあると楊井社長は言い切ります。

しかしながら、香港で事業を立ち上げても最初からすんなり事が進んだわけではありません。最初の3年間はもう明日で終わりかと思うような綱渡りの日々が続きました。3年目の節目とよく言いますが、その3年目を迎えた年、急に売上も伸び、1987年には沙田に第2号店を出しました。沙田地区の開発がどんどん進むのに合わせ、ジャスコが沙田に進出することになり、その時現在のイオングループの名誉会長である岡田卓也氏の鶴の一声で、A-1 Bakeryがジャスコ内に店舗を構えることになりました。その後も香港では高級志向のスーパーで知られる「シティースーパー」の故石川社長との出会いなどがあり、事業の多角化、店舗出店の拡充を図ってきました。

30年という年月を振り返ると世の中の流れにもいろいろな節目があります。1997年7月にタイで発したアジアの通貨危機は、ベトナムで展開していたホテルの合弁事業にも大きなインパクトを及ぼすようになりました。また、1997年には中国への返還、そして2003年のサーズの問題で大きな痛手を負いました。更に2008年9月8日のリーマンショックで香港の金融機関もマヒ状態に陥ったなかで、苦戦していたベトナムでのホテル事業をリーマンショックの前日、9月7日に売却することが出来、致命的な傷を負う前に危機を逃れることができた強い運にも助けられました。

世の中の浮き沈みに面しながらも、香港人の特性ともいえる“動きが速い”に合わせ、“忘れるのも早い”に助けられ、サーズの問題も時ともに沈静化。事業の拡大路線として隣接する巨大な市場、シンセンに2009年3社による合弁事業で5店舗を出店したものの、2012年には尖閣諸島問題でシンセンからの撤退を決断し、合弁パートナーであった大家族グループに買い取ってもらうことになってしまいました。この大家族グループの会長との出会いも、楊井社長に人との出会いの大切さを教えてくれた一人です。

「これからの経営」

楊井社長は言います。“中国での3年間の合弁事業は大きな勉強になりました。”トヨタ自動車系列の商社と事業を行ったことで、トヨタの「カイゼン」を学び、その改善指導がこれからの「経営」を考える大きな指針となっていると言います。

楊井社長の真摯に学ぶ姿勢は、トヨタでいう「カイゼン」をすべての業務部門で実行する実践力にも裏付けされています。限りなく機械化できる工程は機械化し、人手による無駄の削減、品質の向上と統一、労力の削減などで、生産効率を高めることで、人件費、不動産が高騰する香港で生き延びていく道を確保すると言い切っています。例として、人の手で作業していた時は、7名の作業員で7~8時間かけてつくれるもちもち感のあるパンの数は15,000個でしたが、設備導入することで、1名の作業員が3時間で同じ15,000個のもちもち感のあるパンを作れるようになったこと。 また、サイロを導入することで、一袋25kgもある小麦粉を人が運ぶのではなく、直接ミキサーに入れることが出来るようになり、作業員の労働環境の改善、システム化により衛生管理が向上し、安心して働ける職場環境を従業員に提供することができるようになったこと等、明日につなぐための経営戦略、施策を惜しみなく語って下さいました。

また、香港人の気質、ものの考え方を理解した上で、京セラの稲盛会長が言う「アメーバ―経営」をもって、人のやる気を促すための「インセンティブ・システム」や「部門別採算制度」の導入。これは単に営業部隊や店舗開発部門に留まることなく、一般的にはコスト部門と評される人事部、経理部などにも反映させるところがすごいです。

「これからの経営」として、楊井社長が視野にいれる事業分野は大きく広がっています。食文化を基盤に、半製品(パンの生地など)を中国に出すこと、クッキング・スクールの運営、食のコンサルティング事業(店舗支援)、無店舗販売(オンライン販売)、有名なパテシェとのコラボレーション事業など、美味しいものをたくさんの人に提供しつづけていきたいという熱い思いは、30年前には考えることができなかった香港の市場の変わり方にも屈することなく、隙間にチャンスを見つけ、チャンスを事業に結びつけていて、香港で挑戦し続けていく姿は「石門食堂」の成功につながっているのでしょう。

この定例会に参加できなかった皆さんのために、この活動記録を通して、楊井社長の美味しい話を丸ごとお伝えしたかったのですが、たくさんの隠し味がこぼれております。 美味しさを丸ごと味わい方は、是非A-1 Bakery で本当の美味しさをご賞味下さい。

講演会の後、吉田副会長の One Point Advise で、マーケティングの重要性にあわせ、過去の事例にとらわれることなく客のニーズをきちんと捕まえることが大切との助言がありましたが、吉田副会長の締めくくりの言葉で、「楊井社長の講演は、今までにない真面目な講演でした!」がとても印象強かったです。

又、講演後の親睦会で乾杯の音頭を取って下さいました筒井初代会長の言葉、「和僑会の神髄は会員皆さんの相互の助け合いです」をお借りして、“皆さん、美味しいパンとSweetが食べたくなったらA-1 Bakery に行きましょう!” 

(文責:香港和僑会、執筆:香港和僑会会員 橘 桂子さん)

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