講演予告【9月16日(木)開催】第184回香港和僑会定例会「カイロで健康と美Bodyを!日本人カイロドクターの香港奮闘記」

第184回香港和僑会定例会につきまして、9月16日(木)香港時間19時=日本時間20時より、本場アメリカでカイロプラクティックを学び、2008年に来港してゼロからカイロドクターとしてのキャリアを確立された青耕平(あおこうへい)先生をお招きし、「カイロで健康と美Bodyを!日本人カイロドクターの香港奮闘記」というテーマでご講演頂きます。講演に先立ち、沙田と觀塘でカイロプラクティックを開業されている青先生に直撃インタビューしてきました。医療・カイロプラクティック業界の従事者は必読!また、青先生の仕事の流儀、香港とのご縁、素顔に迫ります!


和僑会:青先生のお仕事についてお聞かせください。

青耕平先生(以下、敬称略):私はカイロプラクティックの医師です。カイロプラクティックというと、体をポキポキ!と鳴らす治療と考えている方が多いと思いますが(笑)、究極的に言うと、カイロプラクティックは患部に対する治療ではありません。骨格を整えるのは手段であり、実際は脳にアプローチすることを主眼とした治療法なんです。

というのも、人間には自然治癒力という素晴らしい力が備わっています。病原菌が入ってきても、体の関節がおかしくなっても、本来は体が治してくれます。ただ体の免疫力や回復力が低下していると、その力は弱ってしまう。ではその力をコントロールするのはどこか?それは「脳」です。私の仕事は、骨格のバランスと機能を整えることで、脳からの指令が患部に正確に届くようにすることです。

ところで、背中には何個の関節があるか知っていますか?大体同じ長さの腕には、肩・肘・手首の3個。そして背中には、首に7個、背中に12個、腰に5個、そして骨盤。他に仙腸関節などもありますが、大まかに見て25個。この25個の関節を整えることで、体の不調に働きかけるのがカイロプラクティックです。

対して、西洋医学で現在認識されている病気の種類は3万個以上。西洋医さん達は診察や検査を重ね、患者さんの病気をその3万個のどれかに当てはめて、薬や施術を決めていきます。それに比べてカイロプラクティックは至ってシンプル。25箇所の問題を改善すればいいのです。どちらが良いという議論ではありませんが、患者さんにとっても分かりやすいですよね。このシンプルさがカイロプラクティックの素晴らしい所だと思います。


和僑会:なぜカイロプラクティックの道に進もうと思われたのですか?

青:私は、大学時代はアメリカンフットボールに明け暮れていました。1年生から昼も夜も励んでいると、段々と首が痛み始めました。大学近くの整体や鍼灸に行ってもなかなか治らない。ある時、小学校時代からの親友の父上が開業されているカイロプラクティックで診察を受け、直後に痛みが治まりました。驚きましたね。この方はアメリカで免許を取られ、鍼灸師会の会長も勤められ、藍綬褒章も2回授与された非常に有名な先生なんです。そんな方が身近におられ、診療してもらえるとはラッキーでした!これが私とカイロプラクティックとの出会いです。

時は過ぎ、卒業後の進路を考える時期になりました。私の専攻は、物理学、しかも相対性理論。卒業後のオプションは、研究者、教師、博物館に勤める、のどれかでしたが、どれもピンと来ず、それよりも何とかしてアメフトのフィールドに残りたいと思っていました。ですが、プレイヤーとしては条件が合わず、トレーナーとしては日本では食べて行くのが難しい。そこで思いついたのがスポーツドクター。カイロプラクティックの有効性も身を以って知っていたので、迷いはありませんでした。

卒業後はカイロプラクティックの本場である米国へ渡り、パーマー・カレッジ・オブ・カイロプラクティックへ入学しました。この学校は、「カイロプラクティックの父」と呼ばれるD.D.パーマー博士が、1897年に創設した最も権威のあるカイロプラクティックの専門カレッジです。パーマー博士は、20年以上も難聴で悩んでいた患者が、背中の痛みと共に耳が聞こえにくくなったという話に関心を持ち、患者の背中を触診していると、一つだけ隆起していた背骨に気づきました。この背骨を元に戻すよう押し入れたところ、なんと患者の難聴が回復したのです!これがカイロプラクティックの始まりです。


和僑会:なるほど!カイロプラクティックは東洋医学と思っていましたが、実はアメリカ発祥の治療法なんですね。その後、アメリカから香港にいらした経緯は?

青:パーマー・カレッジに在学中、放課後は、毎日のように筋トレに励んでいました(笑)。筋トレするアジア人は結構少ないんですが、そこにもう一人のアジア人が…。その筋トレ仲間こそ、なんと同じ学校の先輩で、僕の現在のパートナーであり、ボスとなった方でした!

彼から、香港でカイロプラクティックはすでに医療として法制化されていると教えられました。つまり、ここ香港で、私達は医師として認められており、診断やレントゲン手配の権限があります。対して、カイロプラクティックが法制化されていない日本では、私達は医師ではないのです。どう見ても骨折しているものを「骨折しています」と診断すると、違法行為として罰せられます。遣り甲斐を考えた時、行き先はもちろん香港でした。

さらに、2008年時点、香港のカイロプラクティック医師数は80人。対して在港日本人人口は3万人。市場の需要も見込めたので、香港で開業と意気込んだものの、難関が待ち構えていました。

2008年3月に パーマー・カレッジを卒業、免許取得が9月。半年もかかったのは、免許取得が非常に厳しかったからです。医療従事者の推薦人のレターはもちろん、その推薦人とも1年以上の知り合いでなければなりませんでした。何とかクリアし、同年11月に香港へ来たものの、今度は就労VISAの壁。日本では医師免許はほぼ終身有効ですが、香港では毎年の更新。日本の厚生省に翻訳を依頼しても、そのあたりの医師制度の違いを説明するタイムロスで埒があがらず、結局は先輩に助けてもらい、なんとか労働VISAを手にしたのが2009年3月。紆余曲折を経て、卒業から就労まで丸1年かかりました。

最近はカイロプラクティック医師として労働VISAを取るのは更に厳しくなっているようです。というのも、香港内の大学でカイロプラクティック学科が新設されたから。地元の医師の就業機会を守るという目的でしょうね。裏を返せば、カイロプラクティックが市民権を得てきているということ。嬉しい動きと考えています。

香港で今日、ドクターと呼ばれるのは4医師のみ。西洋医、歯科医、中医、そしてカイロプラクターとなります。香港は、アメリカに次いで、カイロプラクティックが開かれた市場と言えるでしょう。


和僑会:本場のアメリカで働こうというお考えは?

青:アメリカはないですね(苦笑)。あちらはやはり本場だけあって、カイロプラクターがレントゲンを取ることもできます(香港は発注まで)。ですが、あまりに商業的になり過ぎてしまって、本来のカイロプラクティックだけでは競争できなくなってしまっているのが実情です。例えば、カイロだけではなく理学療法である電気マッサージも始める…それに飽き足らず、ボディマッサージ、美顔フェイシャルも抱きあわせる…など。そういう意味では、香港は純粋なカイロプラクティックの需要がある最も開かれた市場じゃないかな。


和僑会:香港で働く醍醐味は?

青:先にお話したように、医師として患者さんを治療できるというのは大きな醍醐味です。

あとは患者さんから求められることも異なります。日本人の方はまず「保険がきくか」という経済的なこと。日本だと500円でできなければ患者さんは帰ってしまい、安売り競争のようになっている。あと、「1セッションで何分?」と、長く先生に触ってもらうとお得という発想の方が多いですね。「治る?治らない?」は二の次です(笑)。

対して、香港人は「体を壊す=お金も時間もかかる」ことが大前提。何よりまずは不調を治さねばという意識が高い。また、長く触ればいいというものではなく、治療も端的に効果的に終わらせねばなりません。

3万人の日本人人口をターゲットに来ましたが、結果的に現在9割が香港人の患者さん、残り1割は日本人ですが香港に長い方。お互いが真剣勝負の緊張感がむしろ心地よいですね。


【クリニックを支えるアシスタントには常に感謝とねぎらいをもって接する青先生。アシスタントチームのリーダーと。】


和僑会:今後のチャレンジ・展望は?

青:今後の展望と言えば、当然、香港でのビジネスを大きくしていくこと。そしてチャンスがあれば中国本土での開業ですね。中国でもカイロプラクティックはまだ法制化されていません。ですので、その地ごしらえからです。

まずはプライベートエリア中心になるでしょうね。日本にカイロプラクティックを持ち込んだ第一人者の先生と懇意にしていますが、この大先生はすでに本土に患者さんをお持ちなんです。お年を召されているので、「青君、手伝いに来てくれる?」なんていう依頼もコロナ前はありした(笑)。その方を介して、お世話になった香港のカイロプラクティックの第一人者は、すでに他界されたのですが、その方にも素晴らしい本土のネットワークを紹介いただきました。

あと、妻が中国本土の人間なので、なんとかなるかな?でも政治形態が違いますからね、もう少し勉強が必要です。

ということで、目下の目標は香港でのビジネスの拡大です!医師とは言え、ビジネス的発想は必要です。ここは外国ですから、日本政府が守ってくれるわけではない。沙田と觀塘にクリニックを構えているのも、医療貢献はもちろんビジネス的観点からです。患者さんは重症の人で週3回、大抵は週1-2回の治療です。であれば、1か所に5日間いるよりも、異なる2か所で異なるグループの方を治療する方が、効率が良いでしょう。

また、香港は社会がきちんとインフレしているというのが魅力。例えば、日本の整体、現在1回5~6千円くらい。20年前と変わりません。一方、香港では10年前は330ドルくらいだったカイロプラクティック施術費用、今はうちで700ドル、中環あたりに行けば1,200ドル(2021年7月現在)。コロナやSARSで一時経済が縮んでも、リバウンドが大きい。市場の反応も速い。インフレに合わせた給与体系が期待できます。


和僑会:ここからはプライベートのお話をお聞かせください。青先生の名字はとてもユニークですね。日本の姓ですよね?

青:はい、れっきとした日本の姓です(笑)。正確には、三重県鈴鹿市にある鈴鹿山脈のふもとにしか無い姓です。これまでも同姓の方に2人しか会ったことありませんが、曾々爺さん辺りで繋がっていたのでしょう。もとは「青竹」から来ていたようです。

下の名前の「耕平」は父が付けたものです。青空の下、中国で農業でもすればいいと思って付けたそうです。なぜ中国か?広大な大地のロマンというイメージだけだったんでしょうね(笑)。図らずも、今、中国にいて、本土にカイロプラクティックの地を耕していこうと情熱を燃やしています。不思議なご縁です。


和僑会:冷蔵庫に常備しているものは?

青:ウーロン茶です。子供頃からお茶が好きで、今はご飯食べながらコーラも行けますが、アメリカに行く前はゲップがきつくて、コーラ1本飲めない若者でした(笑)。初めてウーロン茶を飲んだ時の事を、今も鮮明に覚えています。父の野球仲間がやっている中華料理屋でした。缶に入ったサントリーのウーロン茶。飲んだ瞬間、「苦い!でも美味しい!」(笑)。

今は毎朝、沙田のセブンイレブンで必ずウーロン茶を買います。家の冷蔵庫にもウーロン茶は欠かせません。妻には「もったいないから作ればいいのに」と言われます。でもティーバッグでも茶葉でもダメなんですよ。サントリーのウーロン茶のあの絶妙なブレンドが美味しいんです!ですから正確に言えば、常備しているのはサントリーのウーロン茶ですね(笑)。


和僑会:次に買いたいものは?

青:わたくし(改まって)、実はとある収集癖がありまして…。革製品に異常なまでの関心がありまして…。次に買いたいというか、すでに最近買ってしまったのですが、某フランス超高級皮革ブランドのクロコダイルの長財布をコレクションに加えました。このキャッシュレスの時代におかしいでしょ(笑)?でもですね、キャッシュレスの時代だからこそ、いつか長財布は消えるかもしれません。また環境・保護問題もありクロコダイルの革も廃止されるかもしれない。ということで、コレクターとしては、やはり1サンプル取っておかないと(笑)。

あと野球のグローブ。現在はリトルリーグのコーチと、自分でもプレイする成人男子リーグで活動しています。コロナ前の優勝決定戦で、最後の球を決めたの私なんです!セカンドゴロを処理して、入賞!相手は現役香港代表!私のチームは、自分を含め、年齢はオーバー40ですが、元第一リーグにいた伝説の方々のチームなんですよ。

話は戻ってグローブですが、私自身の需要でそんなに買い足す必要は、もちろんありません。でも、Mizuno Proの最高の特注品が出たりすると…(喜びを噛みしめ)まあ買っちゃいますよね!トータルで9個のグローブを持っています。その内、現役で使っているのは3つ、残りは、息子が高校生になったら使うからという理由で保有。あと十数年、革が持つかですか?時折出しては撫でてますので、油分もちゃんと補給されています(笑)。


【圧巻!グローブ・コレクション!息子さんが6個…使いきれるでしょうか!?】


思い起こせば、皮革製品を集め出したのは、高校の頃に流行ったチーマー影響からですね。ウェスタンのブーツやベルト、革ジャケット…その名残。記念すべき第一個目の革製品は、その時に買ったベルトです。今も使えるんですけど…(和僑会:デザインが合わなくなったんですか?)、いえ、同じメーカーの同じものをまた買って今はそれを使ってるんです(笑)!気に入ったものがあると、使う用、予備用、保管用と複数買ってしまうタイプです。もう、完全に癖(へき)ですね(笑)。


和僑会:今も青先生は鍛え上げられた筋肉でガッチリされてます。趣味はスポーツですか?

青:そうですね。シュワルツネッガーのコマンド―に衝撃を受け、体作りをするのはずっと好きです。高校の時は野球、大学時代はアメフト。アメフトにはもう何しろ憧れました。でも今となっては、自分にも息子にも絶対させません(笑)。幸いに私は大きな怪我をせず終えましたが、靭帯を破損するようなことがあったら、大人になってテニスや野球といった社交的なスポーツはできなかったでしょう。

渡米後、アメフトで鍛えた体がしぼんで行くのに耐えられず始めたのがボディビル。筋トレの良い所は他人と競わないところ、自分自身との闘いです。このジムに通い続けたおかげで、今のビジネスパートナーに出会い、香港へ。香港では野球で広がったネットワークで公私ともに充実しています。趣味で繋がる人の輪は気持ちいいですね。言葉が通じなくても、お互い好きなことを語る時、なんだか通じてしまう。そこで仲間も語彙も増えます。

高校野球も大好きです、本気で泣きます(笑)。去年は甲子園もコロナで中止になってしまいましたが、今年は期待ですね。あとは、ラグビーワールドカップで日本が南米に勝った試合。あれも何度見ても泣きますね!


和僑会:最後に、香港・中国で頑張る同胞、また香港・中国進出を夢見る後輩たちへのメッセージをお願いします。

青:日本は居心地は良いのですが、国際的な競争力が低下しているのは否めません。そしてこれからは益々グローバルな時代。海外転勤が特別な時代は終わり、「大阪転勤!」と同じ調子で、「中国転勤!」と言わるような時代になるでしょう。

そこで躊躇するのではなく、貪欲に海外に進出して行ってほしい。20代30代と言う貴重な時期に、日本だけで通じる自分に満足しないでください。もちろん、ノープランで闇雲に出てきてはダメ。ビジョンを持って、明確な目的を持って、錦を故郷に飾るまでは帰らないという覚悟を持って、自分で生きていく基盤と力を培ってください。

今はまだ日本人の価値は高い。日本人と言えばあちこちでチヤホヤされますが、香港ではすでに「日本人は良い人だけど、お金を持っていない」という評価になりつつあります。そんなの日本人として悔しいじゃないですか。Boys, Be Ambitious!ならず、Japanese People, Be Hungry!弱肉強食の時代はすでに始まっています。大きく、力強く進んでいきましょう!


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スポーツマンシップに則り、人に甘えることなく、人に助けられ、プレッシャーを楽しむ気持ちでご自身の道を切り開いてきた青先生。お話も明快、ユーモアのセンスもビジネス感覚も抜群。こんな先生に出会えたら、安心して治療をお任せできるという信頼感に溢れています。

また、今回のインタビューで驚いたのは、青先生の【引き寄せ力】。人生の岐路に、趣味がもたらす禍福が、結果的に、扉を開いてくれたという瞬間が何度も訪れています。しかもこれまでの道が切断され、新しい道に変わったというのではなく、これまでの道が広くなり、整備され、グングンと加速できるようなハイウェイに変わってきました。

夢を追い、新天地を開拓し続ける青先生の道は、いつか中国大陸を縦横断していくことでしょう。

青先生 、今後も益々のご活躍を“確信”しております!


【講演者プロフィール】

青耕平(あおこうへい) Doctor of Chiropractic

三重県四日市市出身、2008年アメリカ・パーマーカイロプラクティックカレッジを卒業。

卒業後、地元四日市に帰り仲野整体整骨本院にて修行。

2008年末に香港のカイロプラクティックドクター免許を取得し2009年より香港での診療・治療を開始し、現在は沙田とクントン2つのクリニックで診療を行う。

香港での治療とは別に、日本の治療家のスキル向上のためのセミナーを日本で年2回行う。

沙田クリニック:Tai Wai Chiroractic Centre. www.twcc.com.hk

觀塘クリニック:Millennium Chiropractic Centre. www.mmcc.com.hk





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